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同棲2

1: 名無しさん 2014/03/23(日)14:47:38 ID:10nTWnLfS

好きな女の子と同棲した時の話なんだが、色々カオス過ぎて逆に楽しかったんだ。
少し長い話なんだけど暇な人がいたら聞いてほしい。
あと正確には同棲と言うかは疑わしい。
何故なら二人で住んだんではなく五人で住んでいたからだ。

内訳は俺、俺の好きな女の子、その好きな女の子の好きだった男、
俺の事を好きな女の子、そして見知らぬオッサン…

この五人だったんだよ。




全シリーズ

【Part1】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part2】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった

【Part3】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part4】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part5】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part6】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part7】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった


当サイトオススメ記事



2: 名無しさん 2014/03/23(日)14:48:47 ID:10nTWnLfS

俺が好きな女の子は少し変わった子だった。
天真爛漫と言うか、物事を深く考えないと言うか…まあ、でも凄く良い子で可愛かった。

背が高くてショートカットが似合う子。雰囲気が篠田まりこに似てたんで便宜上『マリコ』って事で。
ちなみに俺は歌が歌えないそして雰囲気も残念なナオトインティライミかな?
便宜上『ナオト』としてくれ。


3: 名無しさん 2014/03/23(日)14:49:55 ID:Uq50i9syA

見知らぬオッサンwww


4: 名無しさん 2014/03/23(日)14:50:28 ID:10nTWnLfS

マリコから「一緒に住もう」と言われた時は俺は紅しょうがを自分の牛丼に入れるかマリコの牛丼から先に入れるかを紅しょうがを一掴みしたまま迷っていた時だった。
その言葉を聞いて紅しょうがの事を忘れてマリコを見つめた。
「ナオトさえ良ければ一緒に住みたいの」
そうマリコが繰り返す。
俺は「えっ?えっ?えっ?」みたいな事を繰り返すだけだったと思う。
なんでいきなり、そんな話なんだ?って言うのと、牛丼食いながら話す事じゃねーだろ、って言うのと、掴んだ紅しょうがの着地点どうしよう?って言うのと…

あと、俺達付き合ってもねーじゃん…と言う思いが混濁していたんだよ


5: 名無しさん 2014/03/23(日)14:52:20 ID:10nTWnLfS

>>3
見てくれる人がいて嬉しいよ
続き

そう俺達は付き合っても無かった。でも俺はマリコが好きだった。
だけどマリコは俺の事を友達の一人としか思って無かったと思う。所謂俺の片想い状態だった。
そして、俺はマリコと出会ってまだ3週間もたってなかったんだ…
だから俺は返答に困る、って言うか何でいきなりそんな事を切り出したんだ?と思って紅しょうがを空中浮揚させていた。
いつも突拍子も無い行動をする女、って言うのは3週間過ごして充分に理解していたが俺の理解力がどうやら足りなかった様だ。


6: 名無しさん 2014/03/23(日)14:53:58 ID:8FLATIl1y

「え…?どうしたの?急に」
俺の中では努めて冷静に尋ねたつもりだった。
だが恐らくは「で、デヘヘヘwwな、ど、ど、どうした、急にデヘ、デヘヘヘww」とエロくてイヤらしい感じで尋ねた形になったと思う。
「だって、家が古くて広すぎてさ…一人で住むのが怖いんだもん」
「へ、へー」
マリコの答えに俺は平静を装うも内心バクバクだった。
マジで???何、その理由???何、これ滅茶苦茶チャンスなの???
九回の裏、ツーアウト満塁でバッター俺のチャンスに豪腕投手のマリコが投げた球はまさかの下手投げ??!!


7: 名無しさん 2014/03/23(日)14:55:19 ID:8FLATIl1y

だが、このチャンスに俺は…
「そっか…じゃあ、一緒に住んじゃおっか」
と言えば良かったんだ。
だが、プライドだけは高いと定評の俺は「いやあ…まずいっしょ…」と、カッコをつける始末。
マリコの下手投げに対して見送りを選択した俺。
あああああもう何で俺はそんな事を言うんだよ!!この訳の分からないプライドが憎い!!!!
マリコは俺の答えにキョトンとした表情だった。
そりゃそうだろ…マリコみたいな可愛い女の子が俺ごときに振りまいたチャンスを俺は見送ったんだ。
てか、二度とマリコは下手投げをしない…そう思った矢先だった


8: 名無しさん 2014/03/23(日)14:56:19 ID:8FLATIl1y

「ん?でも、部屋たくさん有るから平気だよぉ」
まさか二球目も下手投げ!!!!
俺はね…さすがにバットを振りましたよ。ええ、もう振りました。
「そう…?じゃ、じゃあ…お、俺も家賃もったいないしな…それも、ありかな…」
そう告げる俺。実際には「え?エヘヘヘじゃあ、や、家賃…も、もったいないっすもんね…えへ、えへへへへ」と言ったと思う。
だが、スタジアムは俺のバッティングに大歓声を挙げて喜んでいたのであった…


9: 名無しさん 2014/03/23(日)14:57:15 ID:Uq50i9syA

>>1は大学生?


10: 名無しさん 2014/03/23(日)14:58:03 ID:8FLATIl1y

マリコと出会ったのはバイト先だった。
俺はその頃大学受験に失敗して地方の情報処理系の専門学校に入学したのであった。
別にそれに興味が有った訳じゃない。ただ単に俺は地元から逃げたかっただけだった。
プライドだけはスカイツリーばりの俺は大学受験に失敗した事が恥ずかしく逃げたんだ。
なので親への口実の為にその専門学校に入ったのだった。
ちなみにバイト先はコンビニで確か二日目か三日目のバイトの日に同じシフトだった。
最初からマリコはフレンドリーに話し掛けて来た


11: 名無しさん 2014/03/23(日)15:00:11 ID:8FLATIl1y

>>9
レスが遅くてスマン、当時は専門学生だった
続き

「ナオトは年、いくつ?」そうキラキラした笑顔で言う。
てか、初っぱなから下の名前呼び捨て。
「え?あ、俺は…」
俺はモゴモゴしながら答えようとするとマリコが「ちょい待ち!」と言って俺の顔の前に人差し指を立ててイタズラっぽく笑う。
「私が当ててしんぜよぉ」
そう言って少し笑いながら笑顔で目を閉じ上を向いた。
そして、手を合わせるとむにゃむにゃと呟く。なんかスゲエ可愛いんだけど。
再び目を開けるとハニカミながら「当てたらチョコ奢ってね?」と言った。
「え、あ、チョコ…?」
「うん!あの板チョコ」
「ああ、いや、別に良いけど」
俺の返事にマリコは再度、手を合わせてお祈り的な事をした後に俺に人差し指を立てた


12: 名無しさん 2014/03/23(日)15:01:58 ID:8FLATIl1y

「はい!今は18歳で今年19歳!」
「あ、当たった。なんで、分かったの?!」
「やったぁ!ニヒ、板チョコゲットだぜぃ!」
そうキラキラした笑顔で言われた時、物凄くドキドキした俺がいたんだよ。
まあ、少し考えれば俺の年齢なんかすぐわかるわなw
俺もマリコがタメだと思ったし。約束通りにマリコに板チョコを買って渡す。
その時少し手が触れた。女慣れしていない俺はちょい赤面したと思う。
それを見たマリコはニヒッと笑い「ああ?わざと手を触れましたねw」そう言う。
「ち、違う!ち、ち、違う!」
もう恥ずかしさでシドロモドロ。

そんな焦る俺を見てマリコはクスクス笑って板チョコを半分に割った


13: 名無しさん 2014/03/23(日)15:03:19 ID:8FLATIl1y

そして一つは自分で頬張り、もう一つを俺に渡す。
「はい、半分こね」
「え?」
「ナオトより私がイッコお姉さんだからあげる」
そう笑いながら板チョコを美味しそうに食べるマリコ。
「え?あ、イッこ上なんだ…っすか」
「急に敬語になるなぁ!」
マリコはケタケタ笑いながら俺に軽くチョップする。
「ナオトおもしろーい♪」
そんな事を女の子から言われた事は俺の前世を含めても記憶にない。
そして、女の子からチョコを貰った事も無かった

何、この人…ちょー可愛い事するんですけど…
全く女慣れしていない俺はね、マリコのこの天真爛漫さにさ…一瞬で恋に落ちたんだよねw


14: 名無しさん 2014/03/23(日)15:04:43 ID:8FLATIl1y

俺が働いていたコンビニは地方の小さな海沿いの田舎にあるマイナーコンビニだった。
だから昼間は余り客が来ない。夜も22時で閉まるコンビニね。

バイトは俺とマリコとおばさんのバイトが二人位。だからマリコはいつも朝から夕方までのシフトだった。
俺もそれに合わせて入る様にしたんだ。

マリコは一々俺の心を虜にする行動を取る。まず、よくボディタッチをしてくる。
俺が作業をしていると後ろから「ツン」と言って俺の脇腹をつついてくる。
「うひゃ!」と叫ぶ俺をクスクス笑って見ていたんだ。

また暇な時にレジのバーコードを俺に向けて笑顔で「ばん!」と言って拳銃を撃つ仕草をしたり、俺の袖を軽く引っ張って「ひまー、しりとりしよ」と言ったりする


15: 名無しさん 2014/03/23(日)15:06:00 ID:8FLATIl1y

俺は一々その度に「何?こいつ…俺に気があるの???どうなの???俺どうしたら良いの???」と心の思う。
全く女に慣れていない俺はそれだけでKO寸前だったんだ。
いつもは女の子の前ではカッコ付けて中々自然に話せない俺だったが、何故か俺はマリコには自然に話す事が出来た。

そしてマリコは突拍子が無かった。
突然「ナオトって、男の人が好きだったりする?」といつものキラキラ笑顔で聞いて来たりする。
それに対して「はっ!俺が好きなのは、お前だっつーの!」と言える訳も無くゴニョゴニョと「へへっ、俺はノンケでもかまわず…」と答えるのが精一杯な俺。


16: 名無しさん 2014/03/23(日)15:07:38 ID:8FLATIl1y

また、ある時はいきなり雲を見つめて「ねえねえ、あれハンクスに似てない?」と言ってくる。
ハンクス?何それ?
「さ…さあ?どうなんだろう…?」
俺は曖昧に答える。
「ええー?!似てるよ?絶対?」
いや、だからハンクスって何?ひょっとして俺が知らない間にハンクスなるものが世に蔓延していたのだろうか?と思う。
へぼい癖にプライドだけは高い俺は『ハンクス』なるものを知らないと思われるのが恥ずかしかった。なので知ったかぶる。
「あ?…そう言えば…あの雲と…空の合間が…ハ、ハンクスの横顔…っぽいね…」
ハンクスが人間かどうかは分からないが思い切ってそう言う。
ちょっとドキドキ


17: 名無しさん 2014/03/23(日)15:09:18 ID:8FLATIl1y

「だよね?!!ハンクスっぽい横顔だよね?!!」
ホッ…どうやら俺の賭けは勝利したらしい。
「あ、じゃあ、あの雲を尻尾だね!!」
は??尻尾???
「でぇ…あれが前足!」
前足…確か人間には前足が無いはず…
「は、ハンクスって…前足…あったっけ…?」
俺は恐る恐る聞いてみる。するとマリコはびっくりした様に答えた。
「あるよ?だって、犬だもん!」
え?犬?
「結構前に死んじゃったんだよね?ハンクス…」
は?死んだ?お亡くなりになった???
「あれ?ってか何でナオトはハンクス知ってるの??」
マリコが今更聞いてくる。


18: 名無しさん 2014/03/23(日)15:10:42 ID:8FLATIl1y

もしかして…
「ひょ…ひょっとして…マリコが…買ってたの…?その…犬…?」
「うんw可愛かったよ?ハンクス!」
しらねええええよ!!!!!
は??何で俺が知ってる前提で聞いたんだよ!!!!
「トム・ハンクスに似てたからハンクスだったんだ」
マリコはキラキラした笑顔で俺をみる。
トム・ハンクスに似てる犬ってなんだよ!!!どんな犬なんだよ!!!!てか、トム・ハンクスに失礼だろ!!!そして、何でファミリーネームの方を付けるんだよ!!!!!!

…っと俺は心の中で散々突っ込んだんだが…嬉しそうにハンクスの思い出話を語るマリコに面と向かって言える訳もなく、そしてそんな訳の分からないエピソードすらその時の俺はマリコに虜になる、ピースの一部だったんだよ…


19: 名無しさん 2014/03/23(日)15:12:14 ID:8FLATIl1y

そんな毎日が続いたある日、少し事件が起きた。
いや、事件て程でも無いんだけど。レジでマリコがオッサンの客にいきなり怒鳴られていたんだ。
バックヤードでジュースの検品をしていた俺は、その声に慌てて店に行く。見るとちょっと強面のオッサンがマリコにキレている。
マリコも俯きながら小声で謝っている様だった
怖い…そう思うが考えるより先に俺はレジに走る。
「お客様、申し訳ありません…どうされましたか?」
実際には少し震え声だったし途中で噛んだ。
オッサンは怒りながら俺に言った内容は、マリコがお釣りをしっかり渡さなかったので釣銭が散らばったらしい。
急いでマリコが拾い集め渡そうとした時に再び散らばったらしい。


20: 名無しさん 2014/03/23(日)15:13:40 ID:10nTWnLfS

「この女が、俺の手を触れずに渡そうとするからだ!」
それは確かに良くないが、お前みたいなキモいオッサンの手は俺も触れたくない、と思うが言えない。
俺もマリコも精一杯、謝罪するがオッサンはキレていた。
最終的にはマリコが、オッサンの手をしっかり握り再びお釣りを渡せ、と主張してきた。
お前それただのセクハラじゃねーか!と思い俺がムッとした表情を浮かべるとマリコは俺を庇う様に前に出てオッサンの手をしっかり握り釣銭を渡した。
オッサンは「最初からそうすれば良いんだよ!」と言いながらマリコの手を握りしめる。
このオヤジ!!俺は思わず詰め寄りそうになったが、笑顔で耐えているマリコを見て思い留まった


21: 名無しさん 2014/03/23(日)15:15:05 ID:10nTWnLfS

オッサンが満足気に帰った後にマリコを見る。
「マリコ…大丈夫…?」
そう言った時に言葉を止めた。マリコが真っ青だったからだ。
「マリコ、大丈夫か!?」
今度はマリコの体を心配し言葉を発した俺。
「うん…ちょっと…ヤバい…」
そう言いながら顔色を悪くして笑いかけてくる。
「ちょっと休んだ方が良いぞ…」
俺がそう言うとマリコはしゃがみこむ。
うわっ、こりゃヤバい。
「ハハッ…私、怒られ慣れてないから…」
そう言って力無く笑う。
「マリコ…マジで休めって」
「でも、ナオトが大変になっちゃう…」
「もうすぐオーナーが来るから平気だって…なんなら、オーナーに送ってもらえよ」
「えー…」
マリコは無理しようとしているが俺はヤバいと思い、すぐにオーナーに連絡して送ってもらう事にした。


22: 名無しさん 2014/03/23(日)15:16:23 ID:10nTWnLfS

最後までマリコは拒否していたが俺とオーナーで無理に車に乗せたのであった…

その日仕事中ずっとマリコが心配だった。
そして、ふとお見舞いに行こうかと考える。
勿論、マリコの家を見たいと言う下心が無いと言えば嘘になるが、それ以上にマリコが心配と言うのが本心だった。
だが、よく考えるとマリコの家の住所はおろかメアドすら知らない。
俺は教えてくれるか不安では有ったがオーナーにマリコの連絡先を聞いてみた。
気の良い年寄のオーナーはあっさりと教えてくれた。個人情報だだ漏れだな、おい。

ビックリしたのがマリコは携帯を持っていなかった。固定電話しか無いらしい。
今時、つーか、なんか色々変わった奴である


23: 名無しさん 2014/03/23(日)15:19:12 ID:10nTWnLfS

教えて貰った住所は近かったので自転車を走らせ向かった。
夕日が海をオレンジ色に染めて春風が柔らかく気持ちが良かった。
近くまで到着した時にふと思う。一人暮らしの女の子の家に直接行くのは…不味くね?
そう思い、やはり一度連絡した方が良いと思い電話をかけてみた。
正直、女の子に電話をする機会が余り無かった俺はドキドキしていた。
出たら何と言おうか?いきなり電話を掛けたら気持ち悪がれないだろうか?
そんな事を思いながら電話をしていたが結局留守番電話に落ちてしまった。

寝てるのかな…?そう思い帰ろうかと思うが嫌、やっぱりここまで来たんだから…と思い向かおうとするが、嫌、やっぱり、いきなりキモくね?嫌々でも……と迷いまくり。
結局、全俺議会は『とりあえず、表からでもどんな家かを見て帰る』と言う消極的且つストーカー的な修正法案が決議決定された。


24: 名無しさん 2014/03/23(日)15:20:49 ID:10nTWnLfS

俺はマリコはワンルームマンションか何かに住んでいると思い辺りを探すが、そこにはワンルームマンションはおろか、鉄筋の建物すら見当たらない。
あれ?オーナー住所間違えてねーか?
そう思い地図が指す小高い丘に向かう細い道を上がった。
振り替えると海が見え、キラキラと夕日に照らされ綺麗だった。
目の前に石塀に囲まれた一軒家があった。

え?ここ?
それは古くてでかい日本家屋であった。まさか、と思い塀の切れ目の入口から覗いてみる。
そこは縁側に面した広い庭だった。
マジでお祖母ちゃんの家じゃん…俺がそう思った瞬間だった…
ピンクの花びらが目の前を舞った。


25: 名無しさん 2014/03/23(日)15:22:16 ID:10nTWnLfS

ん…?
顔を上げるとひらひらと舞い落ちる花びらが何枚もあり、そしてその向こうにピンクの風景が広がる。
そして俺は目を奪われていた…

目の前に大きな満開の桜の木があり、その桜の木の下にマリコが立っていたんだ…

マリコは桜の花びらの下に立ち、桜の木を見上げていた。
その姿が今でも目に浮かべる事が出来る。
それは本当に綺麗で中二臭い言い方をすれば…それはまるで桜の妖精そのものだったんだ。

しばらく俺は何も言えずに佇んでいた。ただ、じっとマリコを見つめるだけ。
そしてその沈黙はマリコによって破られた。
「…ナオト」
その声に我に返った俺はマリコを見る


26: 名無しさん 2014/03/23(日)15:24:03 ID:10nTWnLfS

ああ…やっぱり妖精ではマリコだったか…と馬鹿な思いを感じながら俺は更に我に返る。
うわ、俺ストーカーそのものじゃね?
そのまま逃げようかと思ったがマリコが「ナオト?今日はごめんねぇ!わざわざ来てくれたんだぁ!」と笑顔で言ってくれて事なきを得たよ。

どうやらマリコの体調は戻った様だった。顔色が良い。
「ああ…オーナーから住所聞いて…ちょっとお見舞いをって…」
って俺、見舞いの品なんも持ってきてねえ。
「ありがとう、すっかり元気になったよ!いやあ、色々体調が悪くてさ」とニコニコ笑う。
「…て、言うか凄いねこの桜の木。滅茶苦茶大きいじゃん」
「あ、そうでしょ?何か昔からあってね、私も大好きなんだよ。あ、でも毛虫が凄いよ」
そう最後の一言でマリコが苦笑いをする。


27: 名無しさん 2014/03/23(日)15:25:28 ID:10nTWnLfS

「あ、そうだ。ナオト、ちょっと待ってて」
そう言ってマリコは縁側から家の中に入っていく。俺はその間に家を見た。
中々の趣がある日本家屋で本当に広い。縁側に面して居間が有るのが見えた。家の中は綺麗に片付けられている、と言うよりも殆ど物が無かった状態。
マリコは本当に一人でここで暮らしているんだろうか?そんな事を考えているとマリコが戻ってきて後ろに両手を隠している。
「は?い、じゃあ、右と左どっちが良いですか?」
そうキラキラした笑顔で俺を見る。いつものマリコだ。
「ん?…じゃあ、右で」
俺がそう答える。
「おおおお、素晴らしい!」
そう大げさに言ったマリコは右手を出す。その手の上にはリンゴがあった。


28: 名無しさん 2014/03/23(日)15:27:19 ID:10nTWnLfS

「はい、正解で?す。どうぞ?」
俺にリンゴを渡した。
「え?ちなみに左手は?」
俺が尋ねると「左手はぁ…」と言ってマリコは上目遣いに俺を見て左手を出した。
「リンゴで?す!」
その手にはリンゴがあった。
「え …?何?手品の類?これ」
俺の普通の返しにマリコはケタケタと可愛く笑う。意味が分からん。
「リンゴ好きなりー」
マリコは両手でリンゴを持ってシャリッと頬張った。
え?まさかの皮も剥かずの昔の漫画食い!
「…皮…剥かないんだ…」
俺の一言にマリコはリンゴを含み膨らんだ頬で俺を見た。なんか可愛いし。
「剥かないよ」
手で口を押さえてマリコが言う。剥いた方が良いよ
「そっか…」
俺はそう言って同じ様にリンゴを齧る


29: 名無しさん 2014/03/23(日)15:28:43 ID:10nTWnLfS

久しぶりにリンゴそのまま齧ったわ。
だけどマリコが嬉しそうにリンゴを食べるのを見るとこれも良いかな?って思えていた。
俺達は縁側に座り桜を見ながらリンゴを食べて色んな話をした。

どうやらこの家はマリコのお祖母ちゃんの家らしく亡くなってから空き家だったらしいが空き家にしとくのも何なんだからマリコが住む事になったらしい。
元々一人暮らしがしたかったらしく家賃も要らないので都合が良かったらしい。
後、携帯を持たないのは色々縛られるのが面倒くさいから、との事。
特にビジネスマンじゃないから滅多に緊急の用事は無いから、と言う最もな意見だった。
確かにマリコらしい、と言うのか?


30: 名無しさん 2014/03/23(日)15:30:16 ID:10nTWnLfS

後はマリコがリンゴの美味しさと犬のハンクスの可愛さを語ってくれたよ…
マリコが楽しそうに話す横顔を見つめて俺はドキドキする。
春の夕暮れに桜が舞い散る中で好きな女の子と楽しく語り合う…

俺が今まで経験した事がない世界。
笑う度に揺れるイヤリングが綺麗で、そしてすべすべした頬が可愛くて…
俺は完全にマリコに恋をしていたんだ…

その一件から俺達は更に仲が良くなったと思う。だが、ふと思う。
マリコには彼氏は居ないよな…?
携帯も持ってないし、彼氏が居る素振りも見えない…だが、彼氏が居るのかさえ聞けない俺。


31: 名無しさん 2014/03/23(日)15:31:43 ID:10nTWnLfS

そんな悶々とした日々があり、そしてある日マリコが「私、牛丼食べたこと無いんだ」と言ってきた。

確か俺が毎日の食事をどうしてるかって話で俺が牛丼とかをよく食べるって話からだと思う。
「珍しいね、牛丼くらい食べるっしょ」
「ん?、なんかチャンスが無かったの…ねえねえ!」
マリコは急にキラキラした目で俺の袖をつかむ。一々ドキドキする俺。
「牛丼屋さん、連れてってよ!」
「え…?俺と…?」
うわあああマジか!!!マジでデートじゃん!!!それ!!!
と思う俺だがプライドが高くて定評(ry…そんな嬉しそうな表情を見せる訳もなく、「ああ…じゃ、今日でもバイト上がりにいく?」と軽く言ったのであった。
だが、本当は「うえへへh・・(ry…まあ、そんな感じで牛丼を食べに行きマリコから衝撃的な同棲の提案をされたのであった…


32: 名無しさん 2014/03/23(日)15:32:32 ID:Uq50i9syA

>>31
終わり?


34: 名無しさん 2014/03/23(日)15:34:17 ID:8FLATIl1y

>>32
まだまだなんすよ、すんません続けます


33: 名無しさん 2014/03/23(日)15:33:30 ID:8FLATIl1y

あんまり面白い話じゃなくてゴメンね
まだまだ続きがあるけど、続けても良いんかな?
まあ、こんなもんオナニーみたいなもんか…続けて投下しますね


37: 名無しさん 2014/03/23(日)15:35:38 ID:8FLATIl1y

マリコの家に暮らす事になってから実際に暮らすまでワクワクしっぱなしだった。
色んな事を考え過ぎて鼻血を出した事もあった。マリコは一体俺に対してどう思っているのだろうか?
だが、一緒に住もうと言ったり普段の俺に対する態度からみても悪い風には思ってないんだろうか?
いや、でも俺が意識し過ぎで普通の女の子はあんな態度や一緒に住む事に抵抗を感じたりしないのか?

んー…俺は色んな事を堂々巡りで考えては悶々とする日々だった。
マリコの家に移り住んだのは桜に少し緑の葉がつき始めた晴れた日だった。
「この部屋を使ってね」
そう言ってマリコが通してくれたのはマリコの部屋の真向かいの部屋だった。


39: 名無しさん 2014/03/23(日)15:37:48 ID:8FLATIl1y

まあね、まさか一緒の部屋では無いと思っていたけど、まあ、真向かいの部屋なら嬉しいかな?
この家は五部屋有り、後はトイレと風呂と台所、そして居間。
居間は縁側と隣接していてその縁側から広い庭が一望出来た。
確かに古い家だが、トイレは和式だけど水洗だし風呂も綺麗だ。
部屋も光りが入るからか、綺麗で気持ちが良い。
後、匂いってあるじゃない?他人の家に行ったら馴染めない匂いって無い?
臭いとかじゃなくて、うわ、ここは俺住めないわ、みたいな感じ。
あれがね、良い匂いなんだよ。
いや、実際に良い匂いな訳では無くて心地が良い匂い。それを感じた。


40: 名無しさん 2014/03/23(日)15:37:56 ID:TNh7dUhjN

気になる支援


41: 名無しさん 2014/03/23(日)15:39:18 ID:8FLATIl1y

「いや、なんか良い家だね」

俺は縁側から庭を見ながら言った。
「でしょ?私も小さい頃からこの家好きだったんだ、あ、そうだ」
マリコが台所に行く。そして、戻って来たら又もや両手を後ろに隠してる。
「どーっちだ?」
マリコがいつものキラキラした笑顔で言う。
「んー…じゃあ右」
「おー…流石はナオト♪はい!」
又もやマリコの右手にはリンゴが乗っている。また、リンゴ…
「え?ちなみに左は?」
俺の言葉にマリコがフフフと笑い「リンゴでーす!」何故かドヤ顔。
「え?何…?これはテレポーテーション的な奴…?」
又もや俺の普通の返しにマリコがケタケタと笑いながら俺の肩を叩く。


42: 名無しさん 2014/03/23(日)15:40:59 ID:8FLATIl1y

>>40
ありがとう

続き
そして皮を剥かずに食べるマリコ。
「リンゴ好きだね」
「うん、一日四個か五個は食べてるもん♪」
マリコはその言葉通りリンゴが好きみたいで台所にはリンゴの密輸業者ばりに置いてあるのを見つけた。
いつか、リンゴが高騰した際にはこれで一財産儲ける事が出来る筈。
俺は嬉しそうに両手でリンゴを頬張るマリコを見た。

今日からマリコと二人きりの生活…
マリコと同じ家で寝起きして、マリコと同じ家で寛ぐ。
そしてマリコと同じ風呂に入り、マリコと同じトイレ…うひゃあww

天真爛漫なマリコの事だ、きっと風呂上がりもバスタオル一枚で部屋をうろついたり、トイレもひょっとしてドアを開けっ放しにするかもしれない。


43: 名無しさん 2014/03/23(日)15:42:15 ID:8FLATIl1y

そして、部屋着も面倒臭いからって、下着一枚で…
あひゃあwwwこりゃ、目の毒ですたい!!!
「何、ニヤニヤしてるの?」
下半身に血をたぎらせニヤニヤしている俺にマリコが訊ねる。
「…サザエさんの早川さんのポジションがちょっと理解出来なくて…少し考えてた…」
俺の訳の分からない言い訳。それにマリコが笑う。
「ナオトって、ホントおもしろーい♪」
笑うマリコを見るとエロい気持ちが吹っ飛ぶよな…
ホントエロい気持ちを持ったらダメだ、ダメなんだぞー!

…そう思いながら、その夜風呂に入るマリコを興奮しながら見ていたんだけどね。


44: 名無しさん 2014/03/23(日)15:43:35 ID:8FLATIl1y

まあ、あれだ。
マリコはちゃんと風呂上がりにスウェット姿で出て来るし、トイレもちゃんと鍵まで閉めてするし、最高のラフな格好もTシャツにキュロットだったよ…
なんて、躾がされている娘さんなんだ…

一緒に暮らして分かった事があった。
マリコは凡そ料理と言う物をしなかった。
目玉焼きを失敗した時は何かの冗談かと思った。
まあ、リンゴをそのまま食べてる事から少しは想像出来た事ではあるが…
なので、俺も得意では無いが料理は俺の担当になり掃除がマリコ担当だった。
ちなみに洗濯に関しては物議を醸す


45: 名無しさん 2014/03/23(日)15:44:33 ID:8FLATIl1y

俺が「洗濯は交代でする?」と聞くとマリコは少しニヤニヤして「私のパンツもナオトが干すの?」と言われ「それは俺の懐で温める」とは言えずに各々でする事になった。
それとマリコは世情に驚く程に疎い。
別に頭が悪い訳では無いんだが、流行りの物とかを余り知らなかった。
ファッション関係はその類いの雑誌を見ている様だったが恐らく興味が無い上に携帯も持っていないし、ましてやパソコンも持っていないのでそれが原因なのかな?と思えた。
まあ、そんな事より俺は毎日が楽しくて仕方が無かったよ。


46: 名無しさん 2014/03/23(日)15:46:19 ID:8FLATIl1y

いつもマリコが側にいる。
朝に「おはよう♪」と挨拶して二人で洗面台に立ち一緒に歯を磨いたり、
二人で一緒に御飯を食べたり、
二人で同じテレビを見て笑ったり、
二人で帰りに食材を買ったり…
そして夜中まで二人で縁側に座り星空を見ながら喋り続けたり…

女の子と一緒に暮らす事がこんなに素敵な事とは思わなかった。
しかもそれが好きな女の子だったら尚更だったんだよ…

ただ一つだけ困った事があった。
それはオナニーが出来ない、と言う事だった。


47: 名無しさん 2014/03/23(日)15:47:08 ID:MJnUBxBjR

ちょっと前まで早川さんでしゃばりすぎてたよね
最近落ち着いたような気がするけど


48: 名無しさん 2014/03/23(日)15:48:07 ID:8FLATIl1y

あの頃はまだ自分の家じゃない感が有り、また部屋が襖だから鍵も掛ける事が出来ないので中々やる度胸が無かった。
だが十代の体にオナ禁生活二週間が過ぎた時、限界を感じた。
もうマリコのカットソーから見えるブラチラに俺のムスコは覇気を発する程になる。
こりゃ不味いと思い、マリコが風呂に行っている時を見計らい庭で一分で済ませたよ。

何故、庭かと言うと万が一ティッシュの場合、見つかる可能性を考えて庭に穴を掘りそこにした。
何かの儀式かよホント。
後、もう一つの理由は物干し竿に干しているマリコの下g…まあ、その色々あったわ、ホント


49: 名無しさん 2014/03/23(日)15:49:00 ID:C2iWRFmYG

みてるぜ


50: 名無しさん 2014/03/23(日)15:51:02 ID:8FLATIl1y

>>47冷静な早川評論w>>49ありがとう
続き
勿論、毎日マリコと一緒と言う訳では無い。俺は一応学校があった。
マリコの家に引っ越してから少し学校が遠くなった。そして結構サボったりしてたわな。
バイトにも行ってたし。だから久しぶりに学校に行ったら既にグループが出来ているらしく全く馴染めない。
そして既に授業に付いていけてない俺。

「俺さあ、今、女と一緒に住んでるんだよね」と自慢をしたいんだが、誰一人話す事が出来ない。
チキショー誰か俺に構え。そして、俺とマリコの話を聞け。
しかし、こういう事態にしたのは俺自身だったから、まあ仕方がない。
仕方なしに俺はマリコとのラブラブ(?)な日々を思い返しながらニヤニヤする行為をしていると急に声を掛けられた。


51: 名無しさん 2014/03/23(日)15:52:24 ID:8FLATIl1y

「ナオト、久しぶりじゃない」
俺の脳内反芻を邪魔をした奴は俺の前にある椅子に座る。
「もう…いくら、ウチの学校が出席率、うるさく無くても学校来なさ過ぎ」
そう言って笑うのは一人の女子だった。
こいつは入学してすぐに俺に声を掛けて来て、それからよく喋る様になった…
まあ、唯一の友達と呼べるんだろうか…?

その女子は机に置いてある俺の手を自分の指でツンツンしながら「…もう、結構寂しかったんだからね…?」そう言って軽くすねる。
俺はそっと自分の手を机から下げた
分かってるコイツは俺に気があるって言う事位は童貞の俺でも気が付く。


52: 名無しさん 2014/03/23(日)15:53:16 ID:C2iWRFmYG

やったのか



やったのか


53: 名無しさん 2014/03/23(日)15:53:41 ID:Uq50i9syA

>>52
やったに決まってるだろ


54: 名無しさん 2014/03/23(日)15:53:52 ID:10nTWnLfS

「ナオト…なんか最近良い事あった?なんかニヤニヤしてるし」
そう言ってソイツは俺の机に両手で頬杖をつきながら俺を見つめる。
つーか、近い。俺は少し引き気味に机から離れた。
何でコイツはこんなグイグイ来るんだろう?そう思うと少し羨ましい。
あ、ちなみにコイツは全く俺の好みじゃなかった。

イッテQのイモトに似てた。


55: 名無しさん 2014/03/23(日)15:55:59 ID:10nTWnLfS

>>52タイトルに記載してますが、私はどうt・・・

続き
顔はまあ俺も人に言えた義理じゃないので置いといても全く女を感じさせない勢いと、デカくて掠れた声、何その酒焼けした様な声は。あと、よく分からないファッション。
何で全身紫で統一すんだよ、欲求不満かよ、お前の目覚ましテレビの占いは常にラッキーカラーは常に紫か。
あと、悪い事は言わない眉毛整えろ。繋がってるぞ。両津か、両津を意識してんのか。
締まりの無い顔は何なの?前歯に隙間が空いてんだよ、テトリスの最後の棒でも入れる気かよ。

ああごめん、やっぱ顔も無理だったわ。

だけど悪い奴じゃないんだよ、今更かもしれないが。
ちょっと勢いが有りすぎてグイグイ来すぎるだけ。


56: 名無しさん 2014/03/23(日)15:57:27 ID:10nTWnLfS

「まあ…良いことはあったわな」
そう言って俺はムフ♪と笑う。それを見てイモトはちょっと照れた様に笑う。
「なーに???私???私の事??私が関係してる???」
何でそう言う結論になるんだ、コイツ。どこまでポジティブシンキングなんだよ。

「いや、お前は全く関与してない、ピクリとも触れてない。スリランカで温泉が涌き出ましたと言うニュース位、お前には関係ない」
「スリランカってどこだっけ?アフリカ?」
いや、そこは食い付くなよ。
イモトに言おうかどうか一瞬悩んだが、とにかく同棲している事を自慢したい俺はイモトに、その事を言ったのであった。

…まあ、これが今となったら良かった事なんだろうけど当時の俺にしたらカオスの前兆だったんだろう


57: 名無しさん 2014/03/23(日)15:59:07 ID:10nTWnLfS

「何??!!何??!!何??!!何??!何それー!!!!」
イモトが急に顔を真っ赤にして叫びだした。声デケえ。
「誰??!!どこで??!!いつから??!!てか、何で??!!」
質問一個にまとめろい。
イモトは叫びながら机をバンバンと叩く。
「いや、だからバイトで知り合って…」
「ナオト、おかしいよ!!!それ、絶対に騙されてる!!」
何がだよ。俺はイモトのいつも以上にグイグイ来る勢いが怖くなり腰を浮かした。
「ナオト、もっと詳しく話して!!!」
イモト、いつも以上にギラギラしてるわ…
この勢いに耐えきれなくなった俺は急いでカバンを持って…逃亡した…!
「待てー!!!ナオトー!!!」
後ろからイモトが叫んでいたが俺はとにかく捕まったら殺られる、そう思い逃げ切ったのであった…


58: 名無しさん 2014/03/23(日)16:00:44 ID:10nTWnLfS

イモトにアドレスを教えて無くて良かった。
奴はいつも聞いて来ていたが俺は「もうすぐ携帯変えるから」と言って教えて無かったのだ。
ちなみに携帯を変える予定は全く無い。

家に帰るとマリコが「お帰りー♪」と言ってくれる。
もう、奴とは生物の種類が異なっているんだ。マリコ可愛すぎ。
もう、学校に行きたくない気がした。
俺のリアルはこの場所で今日の学校が悪夢か何かじゃないかと思う。

神様…願わくば、この細やかな幸せがずっと続きます様に…
あ、でも、もうちょっと欲を言うなら…マリコとの距離が縮まります様に…そう願った俺。

だが、欲をかいたのがいけないのか、はたまた、神様が居ないのかは分からないが…俺のカオスは始まったばかりだった…


59: 名無しさん 2014/03/23(日)16:02:11 ID:10nTWnLfS

「今日、街で高校の時の先輩に会ったの」

そうマリコが言ったのは風呂上がりのリンゴの時間であった。
「へー…あ、マリコ一回リンゴの皮…剥いてみない?」
「剥いてみない」
俺の案はアッサリ却下。
「…皮はあんまり良くないと思うが…って、あれ?マリコこの辺の出身じゃないよな?何で高校の先輩?」
マリコは都会出身。ここには独り暮らしが目的で住んでいるだけだった。
「そう、だからビックリしたのー…へーリンゴ剥けるんだナオト」
俺がリンゴを剥いているのを見て少しビックリするマリコ。
いや、俺も得意では無いが剥けない事は無い。
「先輩、隣町で同棲してたんだって」
「へー…よくまあ、こんな辺鄙な地域に…ん?してた?」


60: 名無しさん 2014/03/23(日)16:03:39 ID:8FLATIl1y

「うん、別れたんだって…それで家を追い出されたらしいんだ」
「うわ、きっつー」
そうか別の地域から来た人が別れたらそうなるわな。
ちなみに俺達はどうなるんだろう?まあ、俺達の場合は別れるも糞もまだ付き合ってもねーか。

「だからね、ここに住んで貰おうと思って」
「へー」
俺は向き終えたリンゴを食べた。

………何?

「先輩、仕事もこっちでしてたから大変みたい、今ホテルで寝泊まりしてるんだって」



………絶対にイヤだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
俺はそう叫びたいのを我慢した。
「え、あ、で、でも…ほら、俺…居るけど…」
極力、極力抑えめに主張する俺。


61: 名無しさん 2014/03/23(日)16:05:31 ID:8FLATIl1y

「あ、部屋沢山あるし、賑やかで良くない?」

エエエエエエ!!!!!良くなあああああい!!!

「え、あ、いや、む、向こうも気を使わない…かな?」
「大丈夫、ナオトの事、言ったらナオトが良ければ、って言ってたし♪」

ソイツは俺に気を使え!!!!

マジかよ?…何だよ?それ…せっかくのマリコとのラブラブ生活が邪魔されんのかよ?
…しかし、ここはマリコの家だし、マリコが了承するなら仕方がない。俺に決定権は無いんだ…

それに、マリコは親切心から言ってる訳なんだから俺が我が儘を言う訳にはいかない。
「大丈夫!先輩、凄く良い人だからナオトも仲良くなれるよ!」
そう慰め何なのかよく分からない事を言っているマリコに苦笑いをした。


62: 名無しさん 2014/03/23(日)16:07:22 ID:8FLATIl1y

先輩って可愛いのかな?そんな横縞な期待をしていない、と言ったら嘘になる気持ちを少しは抱いていたんだ。
…だから、こんな事態になったんだろうな。
翌日、その先輩を見た瞬間にそう思えた。
その先輩は可愛くは無かった。どちらかと言うと…

イケメンだったのだ…

そう、彼はパーマとアゴヒゲが似合うイケメンだったよ…
ヒロさんは例えるなら水嶋ヒロを少しガッチリさせた感じの人だった。


63: 名無しさん 2014/03/23(日)16:08:31 ID:8FLATIl1y

「ごめんね…なんか邪魔しちゃって…」
ヒロさんは少し暗く影がある感じで俺に謝った。
まあ、彼女と別れたばかりの人は暗いだろう。
「あ…いえ…」
同じく暗く曖昧に答える俺。余りのショックで何も言えなかったんだ。
「さあ、じゃ、皆で暮らすお祝いにリンゴを食べよ♪」
マリコだけは明るい。
「マリコは昔からリンゴ…好きだな」
ヒロさんが力なく笑う。その昔からって表現がメッチャ嫌なんだけど。
リンゴを目の前に出されて冷静になると同時に怒りと不安とが入り乱れ始める


64: 名無しさん 2014/03/23(日)16:10:00 ID:8FLATIl1y

え?何、この人。てか、マリコとどういう関係?
先輩って言ってたけど普通、男を家に住まわせる?
ありえんだろ!!ってか、どういう関係だよ、何でマリコの事をよく知ってるんだよ!
てか、お前もお前で普通別の男が先に住んでたら遠慮するだろうが!!
何で普通に家に来るの?イケメンはそんなに図々しいの?イケメン以外の男から色んな物を搾取するのは止めろ!!!

…そんな思いが交錯しながら悶々とする俺だった…
ヒロさんの部屋は俺の隣の部屋があてがわれる。
当初の彼は余り部屋から出なかった。俺とマリコが居間でテレビを見ていても一人で部屋にいた。
そこだけは、嬉しい自分がいる。


65: 名無しさん 2014/03/23(日)16:10:59 ID:8FLATIl1y

だが、マリコは心配してかワザワザ彼を「一緒にテレビをみよう」と誘う。
誘うんじゃねーよ!!ほっとけよ!!そう叫びたい気持ちで一杯になりテレビに集中出来ない俺。
凄くイライラしていたんだが、何も言えない。
だが、この時はイライラだけで良かった。この後にショックな事を更に知らされる。

「高校時代、好きだったんだよね♪」

そう照れた笑顔で言うマリコを見た時にポキンと心が折れる音が聞こえたかと思った。


66: 名無しさん 2014/03/23(日)16:11:55 ID:8FLATIl1y

何故、そんな話になったのか前後を覚えていない。
ショック過ぎたんだろうか。俺は何も考えられずに茫然としていたかもしれない。
ただ、その茫然時間が過ぎると今度は色んな思いが込み上げる

え?好きだったって、どういう事?じゃあ今は好きじゃないの?何も思ってないの?それとも嫌いなの?どうなの?て、言うか何?俺は何なの?俺の事は好きじゃないの?て、事は好きじゃない男と暮らしてたの?それとも今は俺が好きで、奴の事は好きじゃないの?好きじゃない男と暮らすの?え?何?どうなの?意味が全く分からないんだけど…

俺の脳内にグルグルとそんな思いばかりが込み上げる。だが、プライドが高い俺はそんな事を言えないのだった…


67: 名無しさん 2014/03/23(日)16:13:21 ID:10nTWnLfS

そもそも、マリコはどういう気持ちで俺と一緒に住んだのか?
俺の中では俺に対して特別な感情を抱いていたと思っていた。
それが恋愛感情までは無いまでも、それに準じた何かしらの感情。
そして俺からの感情も薄々は分かっていると感じでた。だから一緒に住んで楽しく出来ていたと思う。

所が、だ。マリコは過去にかも知れないが恋愛感情を抱いていた男を更に一緒に住まわせる、と言う事をして来た。
何だよそれ…
確かにマリコは突拍子の無いことをする。だけどここまでとは思わなかった。
ひょっとして…俺はとんでもない女を好きになってしまったんだろうか?
童貞の俺でも分かる。

危険だ…俺には手に負えないのかもしれない


68: 名無しさん 2014/03/23(日)16:14:31 ID:10nTWnLfS

…だが、それでも俺はマリコが好きだったんだろう。
夜になると眠れずに少しの音で目を覚ます。
ひょっとしてマリコとヒロさんが二人で密かに…そう、疑心暗鬼になり眠れないのだった。

苦しい…そう思う。嫉妬が疑心暗鬼がこんなに苦しいとは思わなかった。
ほんの少し前まで俺は最高に楽しい生活を送っていた筈だった。
所が今はこんなに辛い。いっそのことマリコに振って欲しい、そうも思った。
つーか、何で俺は未だにこの家に住み続けてるんだろうか?
本当はマリコも出て行って欲しいと思ってるんじゃないか?

そんな結論が出ぬまま明けない夜が続いたのであった…


69: 名無しさん 2014/03/23(日)16:16:04 ID:10nTWnLfS

「ナオト、寝すぎ」

イモトにそう言われたのは学校の昼休みだった。
俺は夜に眠れないのでどうやら学校で寝ていたらしい。
「…寝かせてくれ」
そう言って俺は再び寝ようとする。
昼間はヒロさんも仕事に行っているしマリコもバイトに行っている。
その時だけが俺は安心出来た。
「て、言うかさあ!あんた、まだ女と住んでんの?!」
イモトにそう言われ俺はビクッとして起き上がった。
「…え、何…?」
イモトも俺の異様さを感じたのか少しびびっていた。
「ハァァァァァ…」
俺は盛大に溜め息をついて再び机に突っ伏した。
「え?ナオト?何、どうしたの?」
イモトがビビりながらシャーペンで俺をツツク。俺は危険物かよ


70: 名無しさん 2014/03/23(日)16:16:53 ID:10nTWnLfS

「…お前は…グイグイ行けて羨ましいわ…」
俺の一言にイモトは「何?何なの?」と聞いてくる。
いっそ、イモトに相談しようかと思ったが、こいつが俺に好意が有るのに、それを相談するのは少し違うと思ったのと、コイツを巻き込んだら余計に話が拗れそうだと思い止めた。
だが、イモトはしつこく聞いてくる。俺も負けじと無視をし続けたのだった…


71: 名無しさん 2014/03/23(日)16:18:07 ID:10nTWnLfS

その日の帰り道、俺はダッシュで帰る。
万が一ヒロさんが先に帰っていてマリコと二人きりにさせるのが嫌だからだった。
玄関横にはヒロさんの原付は無かったのでホッとして玄関を開けた。
「お帰りー♪」
いつも通りの笑顔でマリコが迎えてくれた。
マリコがいつもと変わらなければ変わらない程、俺は辛かった。
「…友達?」
マリコが怪訝な顔をして俺に訊ねた。
は?何が?
すると後ろから掠れた声が聞こえた。
「ふーん、ホントに女と住んでんだ…」
え?俺は慌てて振り返る。



そこには…イモトがいた…「


72: 名無しさん 2014/03/23(日)16:19:27 ID:10nTWnLfS

「うわああああああああ!!!!!!!!!」

あの時の俺の表情を是非、楳図かずおに描いて貰いたい。
「声、でかいよ」
イモトが迷惑そうに言う。
「なんだ!!!!お前、いつから!!!どこから!!!なんだ!!!」
もう、テンパりまくりの俺。
「ナオト、自転車漕ぐの速すぎ」
「お前、ホラー過ぎるだろうが!!!!」

どうやらイモトは学校から俺を付けて来たらしい。
俺はマリコ達の事が頭にあって全く、気が付かなかった。
つーか、マジで怖かった…余りの怖さにマリコに促され家に入るイモトを止める事が出来なかったんだよ…


73: 名無しさん 2014/03/23(日)16:20:52 ID:10nTWnLfS

「どうぞ♪」
マリコはそう言って居間に通したイモトにリンゴを渡す。
「リンゴ?」
イモトが少し不思議そうに出てた来たリンゴを見ていた。
「帰れよ」
俺は座り込んでるイモトに言う。
「ねえねえ、ナオトって学校でどんな感じ?」
マリコは目をキラキラ輝かせイモトに尋ねる。
「ふん…顔は私と同じ位のレベルの高さか…」
どこがだよ!お前と生物の種別が違い過ぎるだろ!


74: 名無しさん 2014/03/23(日)16:22:28 ID:10nTWnLfS

そんな突っ込みを入れるのが面倒臭い俺は「つーか、帰れよ」と再びイモトに言う。
「ナオト、ちゃんと勉強してるのかな?」
かーちゃんか、マリコ俺のかーちゃんか!
「私もショートカットが似合うかな?」
お前は髪型よりも、その前に眉毛なんとかしろ!
「良いから帰れよ」
「ナオトが勉強してる姿がなんか想像出来ない」
「スタイルも私と変わらない…?」
会話、噛み合わなさ過ぎだろうが。

俺はイモトを連れて来た事でマリコが怒ったら?と心配をしていたのだが、マリコは至って普通…
と、言うかイモトを歓迎ムードだった。
それは俺に対して恋愛感情が無いからか、それともイモトごときでは自分の敵ではない、と思っているから。
もしくは、自分には新たにヒロさんが出来たから俺の事はイモトに任せようと思ったのか…
俺はモヤモヤする気持ちで頭の中がグチャグチャだった。


75: 名無しさん 2014/03/23(日)16:24:09 ID:8FLATIl1y

そして、連日の寝不足の疲れなのか、かなりボーッとしていたと思う。

「何??じゃあ、ナオト以外にも、もう一人男が住んでる訳??」
気が付くとマリコとイモトの会話が進んでいた。
てか、ややこしい奴にややこしい話をしないでくれ。
「ふ?ん…」
イモトが少しニヤニヤしながら俺を見ていた。
見ろ、少しややこしくなり始めてるじゃないか。
「だって、人数多い方が楽しいし♪」
マリコが嬉しそうにそう言う。
ホントにその理由か?違うだろ…そんな疑心暗鬼な思いを感じる。
イモトはマリコの言葉に少しニヤリとした


77: 名無しさん 2014/03/23(日)16:25:28 ID:8FLATIl1y

「ふーん…人数多い方が楽しいなら私も住まわせてくれるの?」

ハアアアアア!!!!!?????
お前、何言ってんの?!どんだけ図々しいんだ、コイツ?!

俺の開いた口が塞がらない内にマリコは更に俺の口をこじ開けた。


「あ、良いね!え?住む、一緒に住んじゃおうか??」


ハアアアアア?????


78: 名無しさん 2014/03/23(日)16:26:43 ID:8FLATIl1y

俺はマリコを見つめる。
この対応にはイモトも一瞬たじろいたが、流石はイモト、すぐに立て直すと「じゃあ、住む!私も住む!」そう叫びやがった。
マリコはニコニコ顔で了承している。

いや、ちょっと待て。何これ?何ですんなり住む事になってんの?
いや、その前にマリコとイモト初対面じゃん。
住むとかの前に先ずはアドレス交換から始めてさ…
あ、でもマリコは携帯持って無いのか…いや、違う。
そうじゃなくて…

俺は何か頭がゴチャゴチャしまくっていた。何かの悪夢を見ている様だった


79: 名無しさん 2014/03/23(日)16:28:18 ID:8FLATIl1y

寝不足で俺は今、本当は寝ていて、これは夢で…なんて事を思うが間違いなく現実だった。
俺の抱える問題は更にややこしくなるばかりだった…

「いや、俺は口出せないし…」
マリコが一応の了承を得るためにヒロさんに聞いた答えはそれだった。
てか、彼に聞く前に何故に俺に確認しないんだよ。
まあ、マリコからしたらイモトは俺の知り合いだから、って思っているのか?
まあ、結局は俺も無言と言う事は暗に了承の意味を為していたのかも。
それは俺にイモトが住む事で2つメリットがあったからだ


80: 名無しさん 2014/03/23(日)16:29:52 ID:8FLATIl1y

イモトが一緒に居る事により、マリコとヒロさんが密かに…と言う危険性が減る。
そして、もう一つはイモトがイケメンのヒロさんに好意を持ってくれないか、と言う事だった。
ヒロさんがイモトからの攻撃で弱ったり、又は出て行ってくれたらラッキーだったからだ。
フフフ…俺は中々の策士だ。
そう思って台所で食器洗いをするヒロさんを見た。
彼が住む事により彼が食器洗いの係りとなっていたのだ。ヒロさんは丁寧に皿を洗っていた。

…ククク…呑気に皿を洗っている場合では無いぞ。
貴様はイモトの攻撃を見くびっている。
俺自身も敵とはいえ戦略的核兵器を使う事に若干の躊躇を覚える…
しかし、自衛の為、これは仕方がない事なのだ!

フフフ…フハハハハ!その身に奴の恐ろしさをしかと刻み込むが良い!フハハハハ!!!


81: 名無しさん 2014/03/23(日)16:31:11 ID:8FLATIl1y

「…コーヒーでも、どうかな?ナオト君」
ヒロさんが手を拭きながら俺に言った。
「…え?」
俺が悪役ごっこをしている間に食器を洗い終えたらしい。
「…あ、ああ…は、はあ」
彼がコーヒーを勧めて来たのはその時初めてだった。
マリコは食事を終えてサッサと風呂に入ってたのだった。
ちなみにマリコの風呂は超長い。

俺の曖昧な返事にも関わらずヒロさんはフッ、と笑いコーヒーを淹れてくれた。
ちきしょー何てイケメンなんだよ。そりゃ、マリコも惚れるわ。


82: 名無しさん 2014/03/23(日)16:32:36 ID:8FLATIl1y

「砂糖とミルクは、どうする?」
そう言ってスティックシュガーを振った。
「あ、はい…すみません」
ヒロさんは黙って頷いて砂糖とミルクを持って来て俺の前にコーヒーと一緒に置いてくれる。
「あ、じゃあ…頂きます」
ペコッと頭を下げる俺。二人でコーヒーをすすった。
つーか沈黙。テレビの音しか聞こえない。
俺は無理にテレビの内容に笑うがちっとも面白くねえ。
ヒロさんは元々寡黙な人なのか何も喋らずに平気そう。俺は無理。そんなにハートが強くないっす。限界っす。
「…こ、コイツって今、結構人気有りますよね…」
仕方なしにテレビの話題を振る。
「あ、俺…あんまりテレビ見ないから分かんないんだ…」
「あ、そ、そーすっか…ハハ…」
いや、例えそうでも話題合わせてよ。
俺がそう思いヒロさんとの会話を諦めようと携帯を開いた


83: 名無しさん 2014/03/23(日)16:34:10 ID:8FLATIl1y

「…所でさ」
今度はヒロさんが口を開く。タイミング悪いなあ。
「…悪いとは…思ってるんだよ…邪魔して」
え?何?携帯見ようとした事?
「君とマリコとの生活…」
ああ…

「好き…なんだよね…マリコの事…?」

ギクッ。
「いや、あの、そ、それは…」
俺は多分赤面しながらシドロモドロになっていた筈。
それを見てヒロさんはフッと笑い「…羨ましい…な」そう呟く。

羨ましい?何が?
俺はコーヒーをすするヒロさんを見る。


84: 名無しさん 2014/03/23(日)16:34:42 ID:C2iWRFmYG

いいねー
見てるぜ


86: 名無しさん 2014/03/23(日)16:35:28 ID:8FLATIl1y

はあ?俺からしたらアンタの方が羨ましいっつーの!
まかりなりにもマリコはアンタの事が好きだったんだぞ!
俺は好意を持たれているかどうかも分からない!
そして、アンタがここに住んだ事で疑心暗鬼に駆られている俺は毎晩ろくに眠る事すらできない!

なのに、それを羨ましい…?ふざけんな!!!

何かが俺の中で爆発した。
いや、それは寝不足でのイライラが溜まっていたからだろうか?
俺はコーヒーを少し強めのテーブルに置くとヒロさんを見た。

「…そんなに羨ましいなら…なんで…なんで…マリコと付き合わなかったんですか…」

いくら怒っているとは言え基本的にチキンハートの俺は声を抑えて言うだけで精一杯だった


87: 名無しさん 2014/03/23(日)16:36:36 ID:8FLATIl1y

それを見てヒロさんはキョトンとする。
「そんなに羨ましいなら…マリコと付き合えば…良いじゃないっすか…」
わかっている自分がかなり無茶な事を言っている事も。だけどそれを自制出来ない俺が居たんだ。
俺はこれ以上何を彼に言って良いのかわからず黙ったままヒロさんを見つめていた。
ヒロさんは少し困った顔を浮かべていたが何かに気がついた様に「…あれ?」と呟いた。
何だよ…そしてコーヒーをゆっくり降ろすと少し照れた様に笑う。

「…ひょっとして…マリコから…聞いてないのかな…?」

は?何を?


88: 名無しさん 2014/03/23(日)16:37:35 ID:8FLATIl1y

…え?ま、まさか…ひょ、ひょっとして…

もう…既に…付き合っている…???

「え…?ま、まさか…」
俺は声に出して呟いた。
ヒロさんは俺の呟きに頷く様に照れて笑う。
「…そうなんだ…」
そう言われた瞬間目の前がチカチカして来た。

マジか…え…そんな…全て…俺の勘違いで…もう…付き合ってるのか…
俺…ただのピエロじゃん…

ヒロさんは俯きながら哀しそうに言う。


89: 名無しさん 2014/03/23(日)16:38:33 ID:8FLATIl1y

「俺…ゲイなんだよ…」

そうか…ゲイか…そうか

…………は?????

俺は顔を上げてヒロさんを見た。
「…ゲイ…?」
ヒロさんは哀しく笑い俺に頷く。
「わかり難いかな…まあ…いわゆる、同性愛なんだよ…」

はああああああああああああ???????????????俺は本当に茫然自失となった


90: 名無しさん 2014/03/23(日)16:40:09 ID:8FLATIl1y

「マリコから…聞いてたと思ってたけど…聞いてなかったのかな…?」
「え????あれ????で、でも…彼女が居たんじゃ…同棲してたって…」
「ああ…同棲はしてたけど…彼氏と…ね…」

う…ううわああああああああああ!!!!!!
ホモ???ホモなの????
うわあああああリアルでホモ初めて見た!!!!!

って、そうじゃねえええええ!!!!!!
もう俺はテンパり過ぎて何を言って良いのか分からなかった。
てか、何??????


91: 名無しさん 2014/03/23(日)16:41:27 ID:8FLATIl1y

その時丁度マリコが風呂から上がってきた。
俺はマリコにすかさず聞く。
「マリコ!!マジか???マジで、ヒロさんって…その…」
言葉を選ぶ俺。ヒロさんはクスクス笑う。
「…別にホモでもゲイでもお好きな様に」
そう言う。マリコは大きな目をぱちくりとした後に笑った。

「ええーナオト、今更何を言ってんの?最初に言ったじゃんw」

…聞いてねええええええええ!!!!!!!!
え?ちょっと何これ…マジか…じゃ…今までの俺の寝不足って何?
無駄に何を心配してたの…?
その時、ハッ!と思い出す


92: 名無しさん 2014/03/23(日)16:42:57 ID:8FLATIl1y

しまった!!!そうすると…イモトは…
「なあ…もちろん…イモトは…知らないよな…?」
知らないなら、そっちの方が好都合だ。
だが…
「え?この前イモトちゃんが来た時に話したよ。ナオトも一緒に居たじゃん♪」
俺聞いてねええええええええ!!!!!
うわ…俺、寝不足で全く話…聞いてなかった…
すると…イモトの攻撃は…全て…俺に集中砲火??!!

とめろおおおおお!!!!奴をとめろおおお!!!!
そう思った瞬間に玄関が開きデカい掠れ声が響いた。

「こんばんわあ!!来たよ!!!ナオト、私来たよ!!!」
マジか!!!!玄関にイモトがデカいキャリーバックを持って現れていた


93: 名無しさん 2014/03/23(日)16:44:11 ID:8FLATIl1y

「お前!何で夜に来るんだよ!!!」
「いらっしゃーい♪」
マリコは嬉しそうにイモトを迎える。
「ナオト?!!私…来たよお?」
うるせええええええ!!!!!!
俺は頭を抱えた。何か色々有りすぎて頭がパンクしそうだったんだ。

…こうして、四人目がこの家に迎えられたのだ…
そして、俺のカオスはまだ終わりはしなかった。

四人で暮らし始めて数日が過ぎた時だった。
ちなみに俺はイモトからの攻撃をかわす為に夜は納屋から持ってきた鉈を常備していたのだが、不思議とイモトは何もして来なかった。
勿論昼間とかは俺にまとわりつくのだが、それ以上の行為をしない。
その辺は拍子抜けではあったがホッとはした。


94: 名無しさん 2014/03/23(日)16:45:27 ID:8FLATIl1y

ある日の夕方俺とイモト、ヒロさんが居間でテレビを見ているとマリコが帰って来た。
で、普通に帰って来たのではなくて…
お土産を持って帰って来たのだった。

…それはおっさんだった。

「なんかね、毎日公園に居て帰る所がなくて可哀相だったから…ウチに居てもらおうと思って…」
子犬かよ…つーか、おっさんは子犬と程遠い存在だった


95: 名無しさん 2014/03/23(日)16:46:35 ID:C2iWRFmYG

ホームレスかw


96: 名無しさん 2014/03/23(日)16:47:15 ID:8FLATIl1y

芋洗坂係長に似て、デブでいかにも出来なさそうなおっさん。
俺達はおっさんの事を何故か「係長」と呼んでたよ。
ちなみに係長と呼ばれ「今までで一番の出世です…」と喜んでた。てか、笑えねえ。

係長はいつも俺達に敬語を使ってたよ。とにかく腰が低い人だったねえ。
彼は会社をリストラされて家族にも捨てられ一人この地でブラブラしていたらしい…

俺は一応やんわりと抵抗をしたのだが、何故かイモトは賛成でヒロさんも沈黙と言う名の肯定をしていた。
何か自分の常識に自信が持てなくなってきてしまうんだが…


97: 名無しさん 2014/03/23(日)16:48:15 ID:C2iWRFmYG

係長いいキャラしてんなー


98: 名無しさん 2014/03/23(日)16:48:33 ID:8FLATIl1y

一応俺は釘刺しでマリコにはこれ以上何かを拾うな、とは伝えた。
マリコも「これ以上、部屋が無いから無理だよ」と言っていたのだが。
まあ実際にこれ以上人が増えることは無かったよ…


こうして俺達はこの古い一軒家に五人で住む事になったんだ。
これが俺達のカオスという名の素晴らしく楽しい日々の始まりだったんだ…


99: 名無しさん 2014/03/23(日)16:51:17 ID:8FLATIl1y

長々すみません…ですが、この話はここからが本番なんですよ。
ですが、書き溜めが終わってしまって…
一応続きはすぐに書こうと思うんですが
ちなみにおーぷんの方に来たのは初めてなんすけど、これってやっぱり保守がいるんすかね?


100: 名無しさん 2014/03/23(日)16:52:37 ID:Btv8qSH0G

ゆっくりでいいお(´・ω・`)


101: 名無しさん 2014/03/23(日)16:52:49 ID:C2iWRFmYG

面白い
期待


102: 名無しさん 2014/03/23(日)16:53:47 ID:Uq50i9syA

続きが気になる


103: 名無しさん 2014/03/23(日)16:54:07 ID:10nTWnLfS

>>100
頑張って書こうと思うんですけど、タイプが滅茶苦茶遅くてですねw


104: 名無しさん 2014/03/23(日)16:57:30 ID:C2iWRFmYG

すげーいいスレ出会った


105: ナオト♯芋洗坂係長 2014/03/23(日)16:57:36 ID:10nTWnLfS

>>101
>>102
そう言って頂けて嬉しいっす。
すみません、では頑張って続きを書き溜めようと思います。一応自分自身で保守してみます

あと、酉付けときます


110: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/23(日)17:03:09 ID:8FLATIl1y

よっしゃあ!!酉つけれたwww
あ、今度こそ落ちますw
すみませんでしたww


120: 名無しさん 2014/03/24(月)20:39:57 ID:YVSqG5c28

おーぷんっていいなw


123: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)21:58:51 ID:iZLNGPCBT

やっぱり酉が間違っていたか・・・
お待たせしました。続きを乗っけていきます
保守サンクスです


124: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:00:38 ID:iZLNGPCBT

五人で暮らす様になってから、今までの生活と全く違う様相を呈し始めた。
まずは自然と役割が決まって来る。
当初、料理はマリコ以外で当番制となっていたのだが、イモトは下手では無いんだが、とにかくガサツ。
ヒロさんは味噌汁に出汁を取らずに味噌丸ごと投げ入れると言う暴挙に出た為、台所を出禁。

結局、俺と係長で料理を作るのだが、俺も学校とバイトが有るので思うように料理をする暇が無い。
そして係長の思わぬ才能が発見される。料理が上手いんだよ。
「嫁にいつも作らされてたんで…」
そう力なく笑う笑顔に哀愁を感じた


125: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:02:33 ID:iZLNGPCBT

結局、「一番暇な私がやりますよ」そう係長が言った為に料理長には係長が襲名。
次に掃除は各自の部屋は各自で。あと共用部分はヒロさんと俺がする事となった。
そして、洗濯はマリコとイモトで全員分を行う。
ただ、それが原因かどうかは分からないが俺の下着が二枚無くなったのが非常に気になるんだが…

こんな感じの同棲…いや、既に同棲じゃねーな、これ。あれだ、合宿だわ合宿。
メチャメチャ騒がしいし常に誰かが叫んでたし…夜は皆でグダグダと居間で喋るし…
朝は戦争の様に大変でトイレ争奪戦が凄いしね…


126: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:04:10 ID:iZLNGPCBT

最初は俺はテンション駄々下がりで溜め息ばかりついていたんだが、いつしか何か楽しんでいる自分がいてさ…俺も独りっ子だったから沢山の兄弟が出来た様で…
嬉しかったのかもしれないな…

とにかく、ここに居る人間は何かしらの欠陥を持っていたんだろうね。
社会の常識の枠を外れてしまった欠陥を。
だからある意味傷の嘗め合いをしていたのかもしれない…

まあ、問題も多々ある。春が終わり初夏になった頃にある問題が発生した。
それは虫問題であった


127: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:06:03 ID:iZLNGPCBT

ある日俺が家に帰るとマリコとイモト、それに係長が叫びまくっていた。
廊下と縁側に小さい羽蟻?みたいなのが大発生していたのだ。
「ナオト!助けて!」
そう言ってマリコがしがみついて来た時は興奮した。
その後にイモトも来たのでなぎ倒した。
「ふう…私も虫は大の苦手でしてね」
係長がメガネをクイッと押し上げ少しドヤ顔で言うのが意味が分からないんだが…
たが、俺も得意では無い。とにかくホウキで羽蟻を追い払った。
ちなみに、その後何度か羽蟻が出たのでヒロさんが殺虫剤を購入する事となる。


128: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:07:55 ID:iZLNGPCBT

羽蟻はまだ倒せたんだが、Gが出た時は俺も逃げまどう。
ヒロさんと係長は家の外に逃げた。マリコは俺の後ろで叫びまくる。
イモトが何かの力に目覚めたのか大声を上げながらスリッパで撃退。
奴は戦いの中で進化する人間だった事を知った戦争だった…

仲の良さも深まっては来る。俺は特にヒロさんと、よく喋る様になった。
当初は彼の性癖を知らなかったので余り喋らなかったのだが段々と喋る様になる。
ヒロさんは、と言うよりここに居る全員だったが余り酒を飲まなかった。
たまに誰かがビールを買って来て飲む位。俺は一度ヒロさんが買って来たビールを飲みながら聞いてみた


129: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:09:44 ID:iZLNGPCBT

「ヒロさんて、男役だったんすか?女役だったんすか?」
そう軽い酔いに任せて思いきる。彼は困った顔で笑いながら「秘密だよ」と言う。
うわ、聞きてえ。
「え?やっぱり俺とか見ても、ちょっと興奮します?」
俺、酔い過ぎ。
ヒロさんはフッと笑うと酔っぱらって係長の頭を撫でているイモトを指差す。
「…興奮する?」
ああ…そうか、誰でも良いって訳じゃねーのな…てか、待て。
俺はイモトと同列かよ!何か複雑な俺だった…


130: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:11:46 ID:iZLNGPCBT

あと、マリコとイモトも仲良くなったのかも。
たまに二人でお互いの部屋で喋っていたりするのを見た。一応、暗黙の了解でお互いの部屋には入らない事にはなっていた。
だが、あの二人はよく行き来していたんだよ…
俺はその度に何の話をしているのか気になり襖に耳を当てて聞こうかと思ったが、それは不味いと思い止めた。

ちなみに係長はいつも酔うと訳の分からない歌を一人で歌っていた。
そして翌日には「昨日は酔ってとんだ失態を…」と言って一人一人に謝るのだ。なんか憎めない。
まあ、こんな感じで俺達は上手く共同生活をしていたんだよ。

だけど俺とマリコの仲は中々深まらない。周りが賑やかで有るほど俺はマリコとの間に孤独感を感じていた。
俺はいつもマリコを目で追う。だが、視界の先にイモトが現れたり、係長が被ったりと邪魔をされるんだ。
だからバイトの時だけは二人の時間で嬉しかったんだよ。


131: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:13:42 ID:iZLNGPCBT

「ソフトクリームが食べたーい」
そう言ってマリコがレジから空を見ながら言う。
「ああ、良いね」
俺も頷く。もう暑くなって来たしな。
「んじゃ、今日の買い出しの時に食べようか?」
マリコのキラキラ笑顔でそう言われ俺は即了承。
買い出しは基本、俺とマリコの役割だった。皆からのお金をマリコが預かるからだ。
その時はデート気分で凄く嬉しい。だが、たまに俺とイモトが学校帰りに行く事もあった。
その時は俺はペットの散歩と思って諦めていた。

ちなみにお金の渡す率はヒロさんが断トツに多い。
「使う所が無いから」と言うのが彼の言い分だったが、学生やフリーターばかりなので気をつかってくれていたんだろう。
あ、係長は金の徴収は無かった。彼、ニートだから。
だから俺達に腰が低かったのかな?


132: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:15:21 ID:iZLNGPCBT

俺達は二人でスーパーに行き食材を買い込み(勿論、リンゴも)その後二人で店の外にある屋台でソフトクリームを買った。
そしてベンチに座りそれを食べる。
日が高くなり暑くはなったが夕方になると涼しい風が吹いていた。
山の方から微かにひぐらしが鳴いているのが聞こえる。惨劇が起きる…訳でも無く俺とマリコはマッタリとソフトクリームを食べていた。

「夏だねえ」
「夏ですな」
マリコの一言におうむ返しで返事する。
なんか、こう言う時間が堪らなく嬉しいんだが、どこからかイモトの邪魔が入りそうでビクビクする


133: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:17:44 ID:iZLNGPCBT

「海…行きたいな」
「海ね…○○って泳げるの?」
俺は近くの海岸名を言う。
「泳げると思うよ…あ、じゃあ、そこに行こう!」
「おお、良いね…」
その時、俺はふと気が付く。
海…海に入るのは…水着!!!マリコの水着姿!!!!

「行こう!!!是非行こう!!!何なら今すぐ行こう!!!」
鼻息の荒い俺。
「今すぐは無理でしょ」
そう言ってケタケタと笑うマリコ。だが俺はマリコの水着姿を想像して鼻息が荒いまま。
「来週位から入れるのかな?」
知らん、知らんがどうでも良い。とにかくマリコの水着。
「入れる!いや、俺らが入れるか確認しよう!」
その鼻息荒い一言にもマリコは笑う。
「皆の予定はどうなんだろう?」
ええ?皆?あいつらも?
「と、とりあえず…一回俺らで様子みない…?」
俺は少し控えめに冗談っぽく言ってみた。ダメ元で。
するとマリコはほっぺを軽く膨らまし「う?ん…」と呟いた後に「じゃ、一回様子見に行こうか?」と笑ってみた。

よっしゃああああああああ!!!!!!
心の中の観衆達が俺の一言にスタンディングオベーションをしていた…





134: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:19:28 ID:iZLNGPCBT

それから俺は海に行くまで毎日、楽しみではあったが同時に戦いの毎日であった。
いかに皆にバレずにマリコと二人で海に行くか…

ある日、俺とイモトで学校帰りに買い出しに行く。
「ナオトー、アイス食べない?」
「食べない、お前、これは仕事なんだからふざけるんじゃない!」
俺は一刀両断。だが、イモトは負けない。
「ふふ、こんな風に買い物してたら…新婚さんみたいだね♪」
いや、ペットの散歩がてらの買い物だけど?
俺達は買い物を終え帰路につく。

「ねえ、海でも行きたいよね!」
自転車の風に負けない様にイモトが俺に叫ぶ。
ギクッ。


135: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:21:25 ID:iZLNGPCBT

「…海は…止めておけ…」
「ええ?!なんて?!」
俺の声が自転車の風切り音に負ける。
「ナマコ入るだろ、ナマコ!」
今度はデカイ声で叫んだ。
「ナマコ?」
「この時期のナマコは産卵前でヤバイんだ!アイツらは海の動物の体内に入りそこで、産卵する!基本的には人間には産卵しないが、たまに間違えて人間にするんだ!そしたら体の至るところからナマコが…」
「え?マジ?そんな話…聞いた事、無いけど…」
俺が今考えた話だからね。
「そんな話が広まったら誰も海に来ないからな…海洋学者達の中では常識だ!」
イモトは腑に落ちない顔をしていたが更に言う。
「え?じゃあ、ナマコって他の魚とかから出て来るの?!」
中々、食い付くね。スルーを覚えようか?
「魚でも…結構デカイ奴だな…例えばサメとか」
「え?じゃあ、マグロは?!マグロとかは?!」
なんて好奇心旺盛な奴た。
「マグロは深い所にしか居ないだろ?浅瀬がヤバイんだよ」

こうして俺は怪奇的なナマコ像を明確化していくのであった…


136: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:23:13 ID:iZLNGPCBT

だが、そんな幻のナマコは全く効果が、無かった。
「ねえねえ!あの海水浴場、もう入れるのかな?!」
そう居間でイモトがデカい声で言いやがった。俺のナマコ講座の時間を返せ。
俺はテレビを見る振りをして押し黙る。
チラリとマリコを見るとマリコが困った表情で俺を見てきた。
なんか二人の秘密みたいで嬉しい…が、係長が空気を読まない。
「どうやら、来週位から海開きをする様ですよ」
そう言って団扇で扇ぐ。何なのアンタの無駄な情報力。
それを仕事に生かせてたらリストラされなかったんじゃねーの?
「じゃあ、皆で海に行こう!!」
イモトの叫びで結局、俺の目論見は見事に破られたのであった…


137: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:24:29 ID:iZLNGPCBT

まだ早い時期だったので海は空いていた。
それを分かったのは俺達が、この夏にかなりの日数を海で過ごしたからだ。

海まではヒロさんが原付で荷物と共に先に行き場所を取る。
そして俺達は自転車で追い掛ける形だった。
ちなみに当初の頃は係長の自転車が無くて彼は汗だくで歩いて来ていた。
だが、余りにも可哀想さから俺がコンビニのオーナーに言って捨てられている自転車を貰い彼に渡したんだよ。
「この御恩は一生忘れません」
少し半泣きになりながら言われた時は何かムカついた


138: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:26:59 ID:iZLNGPCBT

海に到着して俺、ヒロさんそして遅れて来た係長で水着に着替える。
ヒロさんはガッチリした良い体をしている。ノンケの俺でも惚れ惚れしそうだ。
反対に係長はだらしなすぎな体をしていた。着替え終わりパラソルまで行くと既にマリコと、もう一匹が着替えおわっていた。

うお!マリコの水着!俺は興奮しているが冷静にマリコの水着に向けてオートフォーカスをする…!
が、マリコ、ラッシュガード着てるし、下も何か短パンみたいな水着だし…おじさん寂しいよ…

「ナオトー!」
マリコの隣のもう一匹がうるさい。余り見たくなかったがチラリと見てしまう。
何だその銀色ちっくな水着は!!目がチカチカする!対ハワイ上陸作戦用に開発された水着かそれは!!
「ナオトー!!」
それでも俺に手を振るイモト。
「宇宙人みたいな水着の人が呼んでるよナオト君」
ヒロさんが冷静にそう言う。
「どこで買ったんすかね、あの水着」
「ピンクレディーが、あんな水着をしてましたね」
係長がそう言っていた


139: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:28:53 ID:iZLNGPCBT

「マリコ、ら、ラッシュガード…着てるんだ…」
俺は迫り来るイモトを押し退けながら聞く。
「だって、日焼けが気になるし」
マリコがそう言うとイモトも同意する様に頷く。
「あ、確かにシミとか嫌だよね?」
うるせえ!お前は日焼けを気にする前に眉毛を何とかしろ!!
…結局、この夏にマリコの水着姿を見る事が無かったよ…

まあ、マリコの水着は残念では有ったが海は最高に楽しかった。
ビーチバレーをして係長にボールをぶつけたり、
海でビーチボールに捕まっている係長を海に落としたり、
岩場でカニを捕まえようとしている係長を海に落としたり、
砂に係長を埋めて俺達は何処かへ消えたり…
ホント、係長ごめんなさい…


140: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:30:18 ID:iZLNGPCBT

ゴムボートを借りてマリコとイモトと三人で沖に出た事もあったな。
俺がゴムボートを漕ぐんだが中々スピードが出ない。
何故かイモトは「しゃらくせえええ!!!」と言ってそのまま海に飛び込み泳ぐ始末。
何だあの野生児は…

その後、俺とマリコがゴムボートで二人きりとなった。
「ああ?なんか楽しいね♪」
マリコはそう言ってゴムボートの後ろ側に寝転がる。
その時、短パンから見えるマリコの生足にドキドキする。
変に色々着ているもんだから露出している部分を見るだけで興奮してしまう。
マリコの細く長い足にうっすら血管が見えて肌に水滴があった。


141: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:32:32 ID:iZLNGPCBT

「…生まれて初めてかも…」

マリコの呟きに我に返る。
「え?」
「こんなに楽しい夏って…生まれて初めてだな…」

そうマリコが仰向けで空を見ながら呟いた。その空を見つめる目に何か物悲しさを感じた。
「俺も…生まれて初めてかな…こんなに楽しい夏は…」
そう。俺もこんなに楽しい夏…いや、こんなに楽しい日々は生まれて初めてだ。
「…ずーっと、続けば良いのにね…」
マリコがそう言って少し眩しそうに目を閉じる。
俺も空を見上げた。
空は真っ青で遠く沖の方には高い入道雲が見える


142: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:34:24 ID:iZLNGPCBT

「…うん。ずっと…このまま続けば良いのにな…」
俺の一言にマリコは目を開けて俺を見た。そして微笑む。その瞬間を俺は今でも思い出すよ。
あの日、あの時…ホントに夏を感じていたんだ…

帰り道はいつも近所のスーパーで皆でアイスを買って食べていた。
夕陽に横顔を照らされながら俺達はアイス片手に海岸線の道路沿いに自転車を停めて食べていた。
「なんか良いですねえ…」
そう係長が呟く。
「青春♪」
マリコも嬉しそうだ。
「…こんな生活も…有りかな…」
ヒロさんはタバコをくわえながら言う。彼はタバコが絵になるわ。
「夏、終わって欲しくないわあ」
イモトの言う事はもっともだ。

俺達は各々夕陽を浴びていた。俺も思う。ずっと夏が終わって欲しくない…


143: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:36:05 ID:iZLNGPCBT

だけど、空気を読まずに俺が一言。
「いや、夏が終わらないのは良いんだけどさ…一つ問題が有るじゃん… 」
俺の一言に全員が現実に引き戻される。
「うわ、ナオト、それ今言う?」
イモトの非難が注がれるが全員分かっている様で溜め息をついた。
そう、俺達に一つ問題があった…それは…
家のエアコンの絶対数が少なすぎると言う事であった。
家にエアコンはマリコの部屋にしか無かったのだ。
だから、俺達は全ての窓を開けっぱなしで寝るが、虫の被害が甚大だったのだ。


144: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:37:44 ID:iZLNGPCBT

マリコが「もし、良かったら私の部屋からエアコン外して居間に付ける?」と言った。
だが、男連中は居間で寝れるが女連中が困る。たからと言ってエアコンを何台も購入するには金が掛かりすぎるんだ。
「ああー、家に帰りたくねえ」
イモトはアイスの棒を舐めながら言う。
「扇風機でも買うか?」
ヒロさんが、そう言うが結局、それでも虫の被害が収まらない。
全員、再び溜め息をつく。すると係長が口を開いた。
「もし、良かったら明日、私にお付き合い頂けませんかね…」
そう言う係長のメガネが光っていた…


145: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:39:44 ID:iZLNGPCBT

翌日、仕事のヒロさん以外の俺とマリコとイモトで係長に納屋にしまってあったリヤカーを引き付き合う。
俺と係長二人でリヤカーを引くが坂道が大変であった。
ミンミンと蝉が鳴く炎天下の中、到着した先は山奥にある不法投棄の場所だった。
「何すんの?係長」
イモトが顔を赤くして汗を拭きながら言う。
「ここで、使えそうなエアコンが無いか、と思いまして」
え?拾うの?
「でも、こんな所に捨ててあるエアコンなんか、壊れて使えないでしょ?」
帽子を取りながらマリコが聞いた。
「ですので…私が修理します…」
「え?係長直せんの?」
俺の問いに係長は少し照れながら笑った。
「以前に勤めていた所が電気メーカーでしたんで…」
マジか。


146: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:41:43 ID:iZLNGPCBT

係長は言う通り凄かった。
使えそうな十台位をリヤカーに乗せて持って帰ると、それを係長を筆頭に皆で必死で修理する。
勿論、俺達全員、機械の「き」の字も分からない連中だったので係長の言う通りの分解して線を繋いだり、はんだで止めたりするだけだった。
使えそうな奴も、結局使えない、と言う事もある。
だけど着実に一台、一台修理していく。

昼間は炎天下の中の作業で大変だったが、それでも楽しかった。
皆で夢中で修理して、休憩は木陰で寝転がり昼寝したりする。
夜は居間からの明かりで作業を続けた。そして、三日が過ぎた時…

各部屋と居間の合計五台のエアコンが出来上がったのであった…
一応取り付けは係長も出来ないらしく近所の電気屋で頼むしかなかったが…

それでも、エアコンがちゃんと稼動した時は全員感動で泣きそうになった


147: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:43:53 ID:iZLNGPCBT

イモトは係長に抱きつきキスしそうな勢いで喜びを表していた。
他の皆も係長を褒め称える。意外な係長の才能であったのだ。
「これで、来年は夏の最初から涼しいな!」
流石のクールマン、ヒロさんも喜びを露にしていたのであったのだ…
だが、エアコンが付いた事により一度アクシデントが起きた。

その日は暑い夏、真っ盛りの日だった。
各々が家に帰り着き順番に風呂に入り、夕食を食べて皆で居間でまったりとテレビを見ていた。
俺は隣でマリコが見ている雑誌を横から覗く。確か、星占いか何かのページを見ていたと思う


148: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:45:36 ID:iZLNGPCBT

係長は台所で「野菜ジュースを作ってみようかと」と言って野菜をミキサーに掛けていた。
ヒロさんは夜にも関わらず電気シェーバーで髭を整える、と言う非常識行動。
そこに風呂上りのイモトが「あっち?」と言って品の無い足をおっぴろげて、ドライヤーで髪を乾かし始めた時だった…
突然、テレビの音が消え目の前が真っ暗となる。
「きゃ!」「うわ!」「え??」
全員が声をあげた。
「停電か??」
いや…
「ブレーカー落ちたんじゃない?」
俺の言葉に「あ、それだ」と言って暗闇でヒロさんが答えた


149: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:47:22 ID:iZLNGPCBT

「てか、全員ひょっとしてエアコンつけてる?」
「あ、私、点けっぱなしだ…」
耳元でマリコの声が聞こえた。暗闇で分からなかったがマリコが隣に居るようだった。
てか、俺も点けてた。聞くと全員寝るときに涼しく寝る為にエアコンで部屋を冷やしていた様だった。電気代もったいねえ。

「とりあえず、近場の電気をコンセントから外しましょう」
どこからか係長が言うが真っ暗過ぎてどこが何やら分からなかった。
その時手のひらと腕に温かい物が絡みつくのが分かった。

え?
それは誰かが俺の左手を握り、そして左腕に抱きついているんだ…


150: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:48:56 ID:iZLNGPCBT

「てか、どこよ!コンセント!」
離れた場所からイモトの叫ぶ声が聞こえる。
「あ、俺、ライターどこだ?それが有れば分かるだろ」
同じく離れた場所からヒロさんの声が聞こえた。
「あ、一個コンセント抜けましたよ」
係長が台所でそう言う…

と、言う事は…だ…
この俺の抱きついている温かくて柔らかいモノは…マリコだ…!

俺は急にドキドキしてくる。
え?なんでマリコは俺の腕に抱きついているの?怖いから?いや、まあ、それなら…分かる。
だけど…手は?手は何で俺の指に絡める様に握っているの???


151: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:50:33 ID:iZLNGPCBT

マリコの息遣いが俺の耳元に聞こえる。
何?何?
俺の頭の中までドクンドクンと血潮が流れる音が響き渡っているのが分かった。

「おい、ブレーカーどこだ?」
「確か洗面所で見ましたよ」
「とりあえず、明かり!」
皆が叫んでいる中、俺はそれ所ではなかった。
何も言わない。いや、言えない。
とにかく俺は緊張と興奮が入り混じり何も動く事が出来ないのだ。
そして…俺の顔に何かが触れた。
それが手の平と分かるのに少しの時間を要した。手の平が優しく俺の頬を触るのが分かる。
手の平からハンドクリームか何かの仄かの香りがした。


152: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:52:00 ID:iZLNGPCBT

そして、俺の前方から微かな息遣いが伝わって来る。
その息遣いから相手も緊張か興奮をしているのが分かった。
俺は動けずに心臓の鼓動だけがバクバクと暗闇に響く。
「おい、どこだ?」
「いて!何か踏んだ」
「あ、洗面所は外から月明かりで僅かに見えますよ!」

そして…暗闇に慣れ、おぼろげな輪郭が分かる様になった時…
その輪郭はゆっくり俺に向かって来て…


俺の唇に自分の唇を重ねたのであった…


153: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:53:20 ID:iZLNGPCBT

俺はその時間が何十分かの時間に思えた。
だけどほんの僅かな時間だったんだろう。その唇が離れて俺の左手をギュっと握りしめる。
俺もしっかりと握り返していた。

そして、もう一度…今度は俺からも動き…
俺達は再び唇を重ねあった…

「あ、ブレーカー戻しますよ?」
係長の声が響いた時、俺達は既に口付けを終えて手も離していた。


154: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:54:41 ID:iZLNGPCBT

そして明かりが点る。マリコは俺から1m位の距離で立っていた。
「あ、点いて良かった♪」
そう言って笑う。その笑顔はごくごく普通のマリコだった。
電気が点いてから再び俺達は雑誌を見る。
マリコは至って普通に先ほどの星占いのページ見ながら俺に話しかけていた。
滅茶苦茶普通だった。

だから俺は自分が夢を見ていたのか…そう思っていたんだよ…


155: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:56:05 ID:iZLNGPCBT

そして夏は過ぎて行く。

この夏、俺達は本当に夏を満喫したんだ。
朝から誰が言い出したかラジオ体操したり、
縁側に座ってスイカを食べて種飛ばし競争をしたり、
そして夜は皆で花火をした…

係長が両手と口でロケット花火をくわえて走り回る。
イモトはネズミ花火を俺に投げてきた。
ヒロさんは線香花火を見ながら少し笑っていたのが怖かった


156: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)22:58:08 ID:iZLNGPCBT

マリコはでっかい打ち上げ花火に火を点けてハシャイで叫んでいた。
「来年も、また海行って、スイカ食べて…花火しよーね!!」
「やろおぜえええ!!!!」
俺達もハイになって叫んでた…

そして、夏は終わりを迎える。

海も、スイカも花火も…
そして、せっかく直したエアコンもね…

結局その年の夏だけのものになったんだよ…


157: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/24(月)23:00:30 ID:iZLNGPCBT

今日の書き溜めは以上です
すみません、長々しょうもない話を書いちゃって
なんか色々思い出してあれもこれもって思っちゃいまして
すみません。明日も早くから仕事なんで寝ます
おやすみなさい


158: 名無しさん 2014/03/24(月)23:01:17 ID:o7ajg97ya

おつ

おもろかった!


159: イモと好き 2014/03/25(火)00:09:53 ID:V3zkoxAtG

目から水が…
乙!


164: 名無しさん 2014/03/25(火)14:16:47 ID:Qdch09CCb

時間掛かってもいいから続きも詳細にヨロシク


165: 名無しさん 2014/03/25(火)14:18:31 ID:Qdch09CCb

完結してないのにまとめられてるのがすごいな!


166: 名無しさん 2014/03/25(火)14:39:20 ID:uxMNf8iTl

続きが気になる


168: 名無しさん 2014/03/25(火)15:23:00 ID:KsNFFQW1z

青春だな~
小説見てるみたいだ


174: 名無しさん 2014/03/25(火)17:23:56 ID:HhXFJpBvr

とりあえずパンツ脱いだ


175: 名無しさん 2014/03/25(火)17:35:20 ID:ldfq0VonV

映画を見てるようだ


176: 名無しさん 2014/03/25(火)17:48:42 ID:tHVwLjsxU

長すぎる・・・
まとめられるのを待つか、だれか3行


177: 名無しさん 2014/03/25(火)17:53:39 ID:pnMOfxfaE

バイト先にかわいこちゃん
同棲
停電でチュッチュ


181: 名無しさん 2014/03/25(火)19:05:34 ID:ZgUHUssnj

露出しながら保守


194: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:36:18 ID:VoVQAPxPZ

こんばんわ、お待たせしました。そして保守ありがとうございます
とにかく書き上げた分だけ投下します


195: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:37:39 ID:VoVQAPxPZ

八月が終わると、どこか物悲しさを感じた。
海には人が疎らになりサーファー以外は居なくなる。
それでも暑い日にはイモトの提案で海に行ったが台風が近づいているからか波が高い。
まあ、それでも波に揉まれて楽しかったんだが…

台風が来た時は大変だった。古い家だからか家が吹き飛ばされそうだった。
だが、流石は先人の知恵だ。以外に丈夫だった。

秋も深まると俺達は秋の味覚を得るが為に色々したよ。近くに栗の木が有るの見つけると栗を取りに行く


196: 名無しさん 2014/03/25(火)22:38:04 ID:wyMc0zWW4

きたー!
てかこのスレよんでたら1/3の純情な感情の歌詞を思い出した。


197: 名無しさん 2014/03/25(火)22:39:45 ID:cuAuxx1o5

待ってた!


198: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:40:07 ID:VoVQAPxPZ

「ヒロさん、もっと揺らさなきゃ落ちないよ!」
イモトが叫ぶ。
「結構揺らしてるんだけどね」
ヒロさんが木の上から言う。
「蹴ったら?蹴って揺らそう?」
マリコ嬉しそう。
「つーか、勝手に採って良いのかな?」
俺の一言は全員にスルーされていた。最終的にホウキで一個、一個を落とした。
お陰でその日から栗ご飯三昧だった。

また、ヒロさんが近くに芋が有る、と話を持って来た。
「芋ー!芋掘る!」
イモトが俄然ヤル気だった。
「焼き芋食べたーい♪」
マリコは又もや嬉しそう。
「芋粥でも作りましょうかね」
係長の腕も鳴る様だ。
「あ、いや、それって誰が植えてるんじゃないの?」と俺が至極まっとうな意見を言うが又もやスルー


199: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:41:55 ID:VoVQAPxPZ

「流石に…栗と違って昼間は難しいな…」
「夜に、黒い服を着て行くべきじゃない?」
ヒロさんとイモトが話す。いや、やっぱり誰かの物って理解してんじゃん…
「仕方がない、精鋭でチームを組んで突入するか」
「特殊芋掘りチーム…SITの出動だね」
何、そのカッコイイ特殊部隊。大体、こう言った悪巧みをするのはヒロさん、イモトの仕事だった。
マリコは単純に楽しそうなだけ。係長は後方支援。俺は全力で全員を現実に引き戻す役目だった。
「いや、不味いって…絶対、誰かのものなんだって!」
「ええー、ナオト、ノリ悪いー」
イモトが非難する。俺は少しムッとして言った


200: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:44:02 ID:VoVQAPxPZ

「良いか?山田さんは市内の中心で働くサラリーマンだった」
「え?誰、それ」
イモトが首を傾げる。
「良いから聞け…彼は真面目に働き続けていたんだ。毎日上司に怒られ、客に怒られ…たが、彼は愛する家族の為に頑張る。勿論、奥さんも一生懸命彼をサポートし続けてきた。暮らし向きは豪華では無いが、それでも奥さんと子供、家族四人が質素に暮らしていた」
「山田さん夫婦がんばったね」
マリコが感想を言う。
「そう、頑張った彼らの子供達は独立して、各々結婚して子供をもうけたんだ。山田夫妻に孫が出来た。そして、彼も遂にその日を迎える…定年退職だった」
「感慨深いでしょうな」
係長が染々と言うが笑えない


201: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:45:32 ID:VoVQAPxPZ

「彼は退職金を遣い郊外に土地を買った。そこで家庭菜園をするためだ。そう、遊びに来る孫のために美味しい野菜を孫と共に収穫したかったんだよ…だが、彼等は農業に関してはドシロウトだった。色々失敗をした。雨の日や、熱い太陽の下、寒い日、そして台風の日にも彼等は頑張って家庭菜園を続けて行く。全ては孫のために…そうして、やっと今年の秋に収穫を迎えるだけの芋を作る事が出来たんだ!」
そう言って俺はイモト、ヒロさんを指差す。
「その苦労をお前らが、盗むとどうなる!楽しみにしていた孫は泣いてしまう!そして、それを見た山田夫妻は茫然としてしまうんだぞ!」


202: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:48:33 ID:VoVQAPxPZ

イモトが焦りながら呟く。
「え…だ、だって、わ、私…その芋が知恵ちゃんのって…知らなかったもん」
知恵って誰だよ。勝手に孫に名前を付けるんじゃねーよ。
「ダメ!絶対、ダメ!知恵ちゃん可哀想!山田さん達も可哀想!」
マリコが鼻をすすりながら言う。いや、感情移入し過ぎだろ。
「やはり…素人の家庭菜園は難しいんですかね・・・」
食いつく所、そこかよ。
「…でも」
黙っていたヒロさんが口を開いた。
「孫の分を置いといたら良くね?」
アンタは鬼かああああ!!!!
その一言でイモトがヒロさんに乗っかる。
だが、俺達で全力で止めて何とか普通に金を払って芋掘りに行く事で手を打つ事が出来たのだった…


203: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:50:27 ID:VoVQAPxPZ

ある、秋の三連休の事だった。
「この、三連休…私、少しお暇を頂きたいのですが…」
そう、係長がみつゆびをつきながら言って来た。古風な嫁かよ。
「何?どうしたの?係長」
マリコがリンゴを食べながら聞く。
「あ、いや、古くからの友人から家に招かれまして」
「俺もその時に会社の旅行があるな…」
ヒロさんも、そう言う。
「あれ?三連休?私も居ないや、実家に帰るんだけど」
マリコもカレンダーを見ながら言った。
マジか!んじゃ、イモトと二人じゃねーか!!
俺は焦る…が、取り越し苦労だった。
「親がうるさくてさあ…私、三連休に一回、実家に帰るわ」
そう言って膨れっ面のイモトを見た時はホッとしたよ。

結局、三連休は俺だけが、この家に残る事になった。


204: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:52:22 ID:VoVQAPxPZ

俺も実家に帰ろうか?と思ったが距離が有るのとバイトのシフトを入れていたので無理と判断し一人で残る事に決定。

三連休の最初の土曜日、俺はバイトに入っていて夕方まで仕事をして帰路につく。
俺は少し一人での生活にワクワクしていた。
この数ヵ月ずっと騒がしい生活をしていたので一人に少し憧れを感じていたんだよ。
俺がやりたい事は一つだけ…それは…

エロいDVD を観る事…!

そう、この家での生活は楽しかったのだが、とんとエロに関しては恵まれなかったんだ。
勿論、エロDVD を観る事は出来ないし、ネット環境も無い。
そして当時の俺はスマホじゃなかったのでエロの情報も少なかった。
お陰で携帯のエロ画像やエロ体験談をオカズにしていた毎日。
だから動くエロを観たい!それを楽しみに三連休を迎えたのだ


205: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:53:54 ID:VoVQAPxPZ

帰り道に遠回りだがレンタルショップによりお目当てのモノをゲットする。
それも五枚も。そして、その日は帰宅スピード最速の記録を更新した日でもあったのだ…
帰宅する途中に誰かまだ居るかな?と思う。今日ばかりは誰も居て欲しくない。
そう思いながら家に到着すると家は真っ暗であった。
俺はホッとしながら家に入り、カバンを置くと直ぐに風呂の用意をして風呂に入ろうと思ったが性欲の鬼と化している俺は我慢が出来ずに居間に有るデッキでDVDを再生した。
いや、何だろうな…俺はあの瞬間、神に一番近い存在となったかもしれない。
全てが終わるまで20分の時間を要しなかった。
満足感が半端無かったのか終わったら「ごちそうさまでした」と呟いた程だった


206: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:55:56 ID:VoVQAPxPZ

そしてDVDを取りだし、しっかりと後片付けをした後に、ふと我に返る。
シーンと音の無い空間が広がっていた。
あれ?この家、こんなに静かだったけ?
そしてやたらと広く感じる。この家だけ丘の上なので車の音すら聞こえない。
俺は少し恐くなったので歌を歌いながら風呂場に向かう。
普段は気にしない洗面台の鏡も今日はチラチラ見てしまう。
とにかく、何か不気味だった。

風呂場で頭を洗っていても振り替えってはいけない、と言う思いだけが強くて全然落ち着かない。
さっきから思いきりミスチルのメドレー大会となっているが、ソロソロ持ち歌が尽きてきた。
おまけに洗顔もしながら歌っていたので口に泡が入りまくっている。


207: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:58:17 ID:VoVQAPxPZ

取り敢えず素早く風呂を上がった俺は気を紛らせる為に再びDVDを手に取り観るが全く集中出来ない…
何なら何故、さっきはこのDVDに興奮していたのかさえ理解出来なくなる。
このDVDを借りた時の俺にどこが良いのか解説をして欲しい位だった。
俺はDVDを観るのを辞めてテレビを見る。下らない深夜番組を観て少し落ち着いて来た。
このまま寝てしまおうと思い布団を部屋から持って来てテレビの前に敷く。
時折、雨戸がガタガタと言う音がするのは風のせいだと自分に言い聞かせた。

淋しい…そして、怖い…
つーか、マリコは俺達がここに住むまで1人でここに居たのか…
何それ?ただの肝試しじゃん …

風がガタガタと雨戸を鳴らす。
風だよな?変なデカイ生物が雨戸を揺らしている、って事は無いよな?…


208: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)22:59:55 ID:VoVQAPxPZ

…と、言うかマリコは恐く無かったんだろうか?
いや、怖かった筈だ。当初、一緒に住もうとマリコが言った時、怖い…と言う理由を言っていた。
それなのに、よく一人で住んだもんだな。

俺の眼球にテレビの明かりを映し出している。
マリコはそもそも…何でここに1人で住んでいたんだろう?
祖母の家だったから…家賃がないから…空き家の管理も兼ねる事が出来るから…

違う。俺が知りたいのは、そんな結果的な理由じゃない。
ワザワザ独り暮らしをする理由だ。
マリコはどうして独り暮らしをしたんだろうか?そして、何故この家を選んだのだろうか?


209: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:01:18 ID:VoVQAPxPZ

マリコは以前俺に独り暮らしをしてみたかった、と言う理由を言った。
その時は俺も納得した。俺もその気持ちが分かったからだ。
だが、俺自身にしても理由はそれだけでは無かったじゃないか。
俺の目的は『逃げる』事。色んな事から逃げたかったから独り暮らしを選んだ。

マリコは何なんだ?
そもそも俺は最初にマリコから、独り暮らしをしたかった、と言う理由を聞いて少し違和感も感じた筈だ。
普通に聞いてれば年頃の女の子が独り暮らしをしたい、と言う理由は納得出来る。


210: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:02:29 ID:VoVQAPxPZ

だが…もしもそんなミーハーな理由なら、こんな辺鄙な場所は選ばない。
マリコは違う。
パソコンはおろか、携帯すら持っていない女の子が、そんなミーハーな理由な筈がない。
違う。マリコはそんな理由で独り暮らしをしない。

いつの間にかテレビは深夜放送を終えてクラッシックな曲と共に夜の風景を映すだけの画像に変わっていた。
マリコは…本当に存在するのかな…?
何故か急にそんな突飛な事を考え始めた。
この数ヵ月…俺はマリコの傍に居たが、彼女の事を俺は何も知らない


212: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:05:27 ID:VoVQAPxPZ

俺は凄く不安になってきた。
下らない想像は止めよう。
だが、俺の想像は止まらない…全てが夢なんじゃないか…そんな思いすら浮かんでくる。
本当はマリコもイモトもヒロさんも係長も存在せずに俺は独り暮らしをしているんじゃないのか?
それだったら本当に怖い。
雨戸を叩く風の音は更に強くなる。

誰でも良い。イモトでも係長でも良い。今すぐに現れて欲しい。
寂しくて堪らない。俺は何故か涙が溢れていたんだ…

翌朝、俺が目が覚めたのは張本さんの「喝!」の一言だった。


213: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:06:56 ID:VoVQAPxPZ

一瞬、どこに居るのか分からなかったが居間でテレビをつけたまま眠った事を思い出した。
ノソノソと起き上がり雨戸を開ける。
外は良い天気だった。余り寝ていないのに眠くなかった。
縁側に座り庭をボーッと眺める。
鳥のさえずりが聞こえるが、それ以外は何の音も無い。

昨夜の下らない妄想が広がり再び悲しくなって来た。

係長の朝飯が食べたかった。
イモトの騒がしい声が聞きたかった。
ヒロさんのタバコの匂いが嗅ぎたかった。

そして、何よりも…マリコの笑顔が見たかった…


214: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:08:03 ID:VoVQAPxPZ

俺は又もや涙が浮かんでくる。
自分でも気持ち悪いと思うが止まらない。
皆が恋しい。皆に会いたい。
まだ一日しか経っていないのに、こんなに寂しい…
何なんだよこれ…
そう思った時だった…

「…何してんの?ナオト」

その聞き覚えのある声を聞いて顔を上げた。
そこには…マリコが立っていた…


215: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:09:41 ID:VoVQAPxPZ

「…マリコ?」
一瞬、夢かと思う。
マリコが帰って来るのは明日の筈だからだ。
「…ただいま?ああ、電車疲れた?」
そう言って縁側に腰を下ろす。
「え…いや、どうしたの…?」
俺の質問にマリコは何故か答えずに下を向く。
「…マリコ…」
俺がそう言うとマリコは顔を上げていつもの笑顔を俺に向ける。
「もうさあ、実家が騒がしくてさあ…さ、リンゴでも食べましょうかね♪」
少しいつもと違うマリコに不安を感じたが、それ以上に俺はマリコが帰って来てくれた事が泣きそうになる位、嬉しかった。


216: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:11:21 ID:VoVQAPxPZ

そして、マリコが実在している事に幸せを感じる。
「おう、じゃあ俺がリンゴ剥いてあげよう!」
俺がそう言って立ち上がり台所に向かおうとした時だった。
急に体が重くなった。それは俺の体が重くなったのではなく、マリコが俺の体を掴んだからだ…
いや、正確に言うと掴んだ、と言うよりも…
俺を後ろから抱き締めていた…

え?何?え?
俺は焦る。
そして一通り焦った後に急激に心拍数が上がり始めていた


217: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:13:24 ID:VoVQAPxPZ

「…え?ま、マリコ…?」
俺の声が掠れているのが分かった。
「…ちょい」
「え?」
「ちょい、疲れたから…このまま…」
こう言う時、どうすれば良いのか分からない俺。
よく聞くのは頭を撫でてやったら喜ぶ、と言う事だが…
だけど、全く体が動かない。後ろからしっかりと抱きつかれているので動けない。
取り敢えず俺は心拍数が高いまま、その状態でいるしか無かったのだった。
鳥のさえずりはまだ聞こえていた。
それ以外の音は聞こえない。まあ、俺の体内の心臓の音だけは聞こえていたが…


218: コバ 2014/03/25(火)23:14:40 ID:uELXzaAGl

ワシの心拍数もあがってきました


219: 名無しさん 2014/03/25(火)23:15:24 ID:YfS3fWGH5

ドキドキしてきました!


220: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/25(火)23:15:29 ID:VoVQAPxPZ

ごめんなさい、書き溜めはまだ有るんだけど
俺の眠気が限界っす
毎朝五時起きなもんで
いつもは寝ている時間なんすよ
なんで中途半端で申し訳ないが寝ます
gみんなさい


227: 名無しさん 2014/03/25(火)23:27:19 ID:no63J1uhe

頭ん中でドラマ構成されるわ


237: 名無しさん 2014/03/26(水)01:48:05 ID:fynDUaoa4

作り話でも実話でも何でもいい!続きが気になる!


239: 名無しさん 2014/03/26(水)03:46:50 ID:psGzRw3EN

テラスハウスなんかより断然こっちのが面白いじゃないか


243: 名無しさん 2014/03/26(水)06:40:33 ID:Oq9ddr1Oq

少し違うが、家族計画ってゲームに似てる

続き楽しみにしてます


274: 名無しさん 2014/03/26(水)18:35:02 ID:exlxiqsci

この続き…、お願いだからマリコが先天性の難病で余命○○とか止めてくれょ(つ_<。)


280: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:26:47 ID:OdLl12yZo

昨日はすみませんでした
すんごい眠くて最後何を書いているのか分からんかったw
あと、楽しみにしてくれて嬉しいっす
昨日の残りと少し今日書いた奴を投下しますね


281: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:28:21 ID:OdLl12yZo

しばらくするとマリコは離れて「よし、じゃあリンゴ食べよっと」と言って台所に向かう。
俺は「あ、おう…」とか曖昧な言葉しか言えずにいた。
童貞なんでこう言う思わせ振りな事をされると非常に困る。
もう、ドキドキするだけだよ…と、言いつつも滅茶苦茶嬉しい俺が居るんだが…

俺達は居間でリンゴを食べながら色々と話をした。
マリコはいつもより饒舌な感じがしたが、まあそれでも楽しそうだから俺は気にしない様にする。


282: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:30:22 ID:OdLl12yZo

「あ、そうだ家からさあ…」
そう言ってカバンをゴソゴソとするマリコ。
「これ、観よう!」
そう言ってマリコは一枚のDVDを出して来た。
「何それ?」
「これはですな?私の大好きな、大好きな人が出ている作品なのです♪」
俺はそのDVDのパッケージをよく見る。
「大好きな人って…これ、『紅の豚』じゃねーか」
「ふふ、飛べない豚はただの豚だぜい!さあ、観よう!」
マリコが嬉しそうにDVDをデッキに入れようとする。


284: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:31:55 ID:OdLl12yZo

その時一瞬、俺は焦る。

あれ?俺、エロDVD…

その瞬間に昨晩の記憶が走馬灯の様に甦る。
確か…賢者モードになった後に…大丈夫だ!
俺はちゃんと後始末をした…!うん、大丈夫…

うん?
記憶を少し早送りする。
あれ…確か、怖さを紛らせる為に…もう一回観たよな…それは…どうしたっけ?
俺の記憶を少しスローモーションにする。
俺はDVDが面白くなくて…あ、そのままチャンネルをテレビに替えた…

「あれ?これ何か観てたの?」
マリコの声に俺は顔面蒼白。


285: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:34:53 ID:OdLl12yZo

あのDVDは…確か…JKモノだ!!!
イヤアアアアア!!!!
だが、遅い。マリコは既に手にDVDを持ってパッケージをマジマジと見つめている。
「…あ」
何かを理解したマリコが小さく呟く。俺は死刑台の上に立っている気がした。
マリコはユックリ、それを下ろして俺の前にソッと置いた。
そして何も言わずに紅の豚をセットして「さ、観ようか」と言って三角座りをした。

ウワアアアアアア!!!!!何か言ってくれ!!!頼む、逆に何か言って!!! ちょっとさっきより離れてるし!!!!
俺は紅の豚の内>容が全く入って来ない。


286: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:36:16 ID:OdLl12yZo

俺は心の中でマリコに何通りもの言い訳を並べるがそれを、言ったところで何ともならないし、意味が無い。
つーか、俺は恥ずかしさと気まずさで紅の豚を観ている最中でも叫び出しそうだった。
紅の豚の上映会というか、俺の頭の中の反省会と、言うかは不明の時間が終了して俺達は遅い昼食を食べに外に出た。
「牛丼食べよ!」
というマリコの一言も
「あんなエロイものを観るアンタとは家に一緒に居れないので外で食べるわ」
と言っている風に聞こえた。
マリコは至って普通に俺に話しかけて来るのだが俺は完全に意識しまくり。
もう普通に話せない


288: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:37:58 ID:OdLl12yZo

飯を食い終わりしばらく、喋っている内にようやく俺の気まずさがほぐれ、マリコと普通に話せる様になった…
…のだが、帰り道の自転車を漕いでいる時、部活帰りのJKとすれ違った。
その時、俺は特に意識せずにチラリとその子達を見ただけなんだが後ろを漕いでいるマリコが言う。
「…ああ言う、年下の子が…お好きなんですね」
ぎくっ。
「…え?」
俺は振り返る事が出来ずにただ前を見て聞き返すだけであった。
だが、マリコは何も言わずに自転車を漕いでいる。

何?何で俺を虐めるの?高々AV観てただけじゃん!
俺は又もや恥ずかしさと気まずさに苛まれるのであった…


289: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:39:33 ID:OdLl12yZo

家に帰り着き俺はマリコに尋ねる。
「少し早いけど、風呂の準備しようか?」
それは気まずさを消す為の会話だ。
「ん?…どっちでも良い」
マリコの答えが超曖昧…って言うか何か無愛想だ。
いつものマリコなら「おう、頼むぜ!」とかの明るい感じなんだ。
それからもマリコは少しいつもと違う感じで俺の言葉に返事をする。
なんなんだ…?結局、マリコも少し気まずいんだろう。
そりゃ、いきなりAVのパッケージを、しかも皆が留守の際に観ていたであろう痕跡を見せられたら俺も同じ男でも嫌だ。
気まずいわ。
ああ?せっかくマリコと久しぶりの二人きりだって言うのに…俺は馬鹿な事をしてしまった…


290: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:40:57 ID:OdLl12yZo

そう思いながら風呂から出て居間に行くとマリコがうつ伏せになりながら雑誌を見ていた。
「お先」
俺はそう言って座る。
「あいよ」
マリコは雑誌を見ながら答えた。
テレビは消されていて部屋がシーンとしていた。
う?ん…さっきよりかはマシになったけど…なんか気まずいな…
そう思いながら俺はテレビのリモコンを探す。
リモコンはマリコの雑誌の横に置かれていた。
「マリコ、リモコンくれない?」
俺がそう言うとマリコはチラッとこちらを見て「…んじゃ、うつ伏せになって」と言い出した。


291: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:42:25 ID:OdLl12yZo

「は?うつ伏せ?なんで?」
「良いから、うつ伏せ!ほら、早く」
畳を軽く叩きながら促してくる。
何だよ…俺はそう思いながらもうつ伏せになった。
「はい、なりましたよ」
そう言うとマリコは急に立ち上がり俺の後ろに回った。
え?
そして俺の両の膝裏に自分の足を乗っけて絡ませた。
「え?何?何?」
焦る俺。
「だりゃあ!」
マリコはそう言って俺の両手を持ったまま自分の後ろに倒れこんで俺はその反動で持ち上がった…!

まさかのロメロスペシャルだった…


292: 名無しさん 2014/03/26(水)20:43:27 ID:V1s1UU2c1

マリコかわいい


294: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:44:11 ID:OdLl12yZo

「いってええええ!!!やめろおおお!!!!」
「だりゃあ!」
マリコは笑っていた。何て楽しそうにロメロをするんだ、コイツは!
つーか、女子がロメロなんかするんじゃねー!!
俺のタップが入りやっと下ろされる。
「何すんだよ!」
俺はうつ伏せのまま咳をしながらマリコに抗議した。
マリコはケタケタと笑っている。
何なんだ一体?俺がそう思っていると再びマリコが俺の背中にまわる。
またか!!今度は避ける様に俺は転がり仰向けに体勢を変えた…時だった


296: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:45:37 ID:OdLl12yZo

マリコは動きを止めて横座りの様な姿勢のまま俺をじっと見つめる。
さっきまでの笑顔は無い。ただ俺を見ていた。
「…どうした…?マリコ…?」
俺は少し心配になりマリコを見た。
しばらくじっと俺を見つめていたマリコは俺の胸の上に手をゆっくり置くと囁く様な小さい声で言った。

「…ちょっとだけ…」
「ん?」
「ちょっとだけね…泣いても…良い…?」


297: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:47:22 ID:OdLl12yZo

え?
マリコはそう言うと下唇を噛み締める。
「…どうしたの…?」
俺の声もどこかか細い。
マリコは黙って首を振り「お願い…泣かせて…」そう言って俺の胸に顔を下ろして来た。

そして嗚咽をあげ始めた…

俺はどうして良いのか分からなかった。
ただ俺の胸が軽く湿って行くのを感じるだけだ。
何だろう?俺が何かしたのかな?AV観ても…別に良いよな…?
童貞の俺が考える事は、そんな下らない事だけだったんだ


298: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:49:06 ID:OdLl12yZo

いくばくかの時間が過ぎてマリコは泣き止んだ。
だが、顔を俺の胸に置いて横を見ていた。

「…ナオト…ごめん」
マリコが謝る。
「いや…良いよ」
「違う…ナオトのシャツに…鼻水付いちゃった…」
そう言って顔を胸に置いたまま俺を見上げて笑う。
俺も笑った。
そのまま俺はマリコの髪をゆっくり撫でた。マリコは一瞬ビクッとする。
あ、やべ、調子乗りすぎた?
そう思ったがマリコは俺を見て「ごろにゃ?ん」と猫のまねをした。
なんて可愛いの、この人


299: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:50:38 ID:OdLl12yZo

俺達はお互い笑顔で見詰め合った。
やばい、エロイ気持ちとかじゃなくて…ただマリコを抱き締めたい。
ぎゅっと強く抱き締めたい…そう思う。
だけど、こんな体勢でいるのに俺はマリコの肩に手を回す勇気がない。
ただ、そこに手を回す勇気がなかった。

…あと、ちょっとだけ時間が有れば、或いはそれが出来たのかもしれない…
まあ、それは言い訳なんだろうが。
まあ、とにかく、その至福の時間は唐突に終わった。

何故なら…玄関が開いて「たっだいまー!!!」とデカイ声が聞こえたからだった


300: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:51:44 ID:OdLl12yZo

そう…人の恋路を邪魔する事に定評のあるイモトのご帰還であった。
「いやあ、ナオトが心配で帰って来たよ!…あれ?マリコも帰ってたの?な?に???ずるうい!」
そう言って膨れるイモトだったが、急に家が明るくなった気がした。
そしてイモトが帰って来た事を残念がっている自分と嬉しがっている自分がいる事にも少し驚いていたんだ…。

あ、ちなみにイモトとも一度二人きりで夜を過ごす羽目になった事があるが、それはまた別の機会に…


301: 名無しさん 2014/03/26(水)20:52:12 ID:frjZ3oKrb

まさかのイモトーwww


302: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:53:45 ID:OdLl12yZo

他にも秋には色々あった。

裏の山を少し奥に行った所に小さな滝があった。
いや、滝と言うか小川に段差がある、と言った感じかな?
それを見つけたヒロさんが「修行だ!修行が出来るぞ!」と言って俺を引き連れて毎朝滝に当たるぞ、と言い出す。
超迷惑だった。まあ、3日で飽きたみたいだが。

また、ある時はイモトがサッカーボールを買ってきた。
どうやらネットカフェでキャプテン翼を読んだらしい。
「代表召集まで時間ないよ!」と言って全員でサッカーを毎晩する。
最初にマリコが「私、今日は見学します」と言って抜けてから崩れる様に我がサッカー部は廃部となった


303: 名無しさん 2014/03/26(水)20:54:35 ID:m6Dngcp10

イモトはぶれないなw


304: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:55:16 ID:OdLl12yZo

まあ、他にも色々あったが今となっては楽しかったねw

ある日、朝の出かけにヒロさんから「今日、飲みに行かないか?」と言われた。
「良いっすよ、あ、じゃあ係長にいっとかないと」
そう思い係長に伝えると「今日は…カレーなんですけどね…」と何故か非難声。
係長のカレーは朝から仕込むので美味い。
少し未練を感じたが明日のカレーを楽しみに俺はその日、ヒロさんと市内の駅前で待ち合わせた。
「おう、スマンちょっと遅くなって」
そう言ってヒロさんが現れたのは待ち合わせの時間より20分を越した時間だった


305: 名無しさん 2014/03/26(水)20:56:50 ID:XvqHGDCht

係長働けよw


306: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:57:01 ID:OdLl12yZo

「どこ、行きます?前に行った所に行きますか?」
以前にもヒロさんと飲みに行った事があった。
以前は係長と三人で行ったのだが、その時は係長が酔っ払い駅前で「私は、この国の法務上の問題を声に大にして言いたい!」と街頭演説を始め恥ずかしかった。
しかも以外に人が集まってるし…
その事があり俺とヒロさんの間では係長は飲みに誘わない事を決めたんだ。
「いや、今日はちょっとな…」
そう言ってヒロさんは繁華街の奥深くに向かう。
そこはスナックやらバーが集う少しディープな場所だ。
こちらの方まで来たのは俺も初めてだった


307: 名無しさん 2014/03/26(水)20:58:01 ID:Oq9ddr1Oq

係長www


308: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)20:58:51 ID:OdLl12yZo

ヒロさんは、ある雑居ビルの所に来ると、そのまま二階に上がり、ショットバー的な所に入っていった。
「おう、ヒロちゃん久し振り」
マスターがヒロさんにそう言う。
「久々っすね」
「半年以上かな?まあ、良い、座りなよ…あれ、お連れさん?」
マスターが俺を見て言う。
俺はペコリと頭を下げてヒロさんの隣のカウンター席に座った。
「ヒロちゃんはいつものね、お連れさんはどうする?」
え?俺…俺は何を飲めば良いの?
正直、こんなショットバーに来たのは初めてだった。
「ウォッカトニックでも飲んだら?飲みやすいぞ」
じゃあ、それで。
二人の前に注文した飲み物が出て来る


309: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:00:19 ID:OdLl12yZo

ウォッカトニックは飲みやすくて美味かった。
ヒロさんはマスターと何やら話をするが俺は黙ってウォッカトニックを飲むだけ。
つれえ…何か知らない初めてのバーで置いてけぼりはつれえ…
暇潰しにカウンターの中にある酒の本数を数えていた。何で人の店の棚卸ししてるんだよ俺。
その時、カランカランとドアが開き客が入って来た。
ヒロさんはソチラに顔を向けると表情が強張る。
それはマスターも同じで有ったがマスターの方は、どちらかと言うとしかめた、と言った方が正解か…


310: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:01:44 ID:OdLl12yZo

入って来た客はか20代後半位のガッチリとした感じのイケメンだった。
彼もヒロさんを見るなり焦ったが、その後目を伏せて店に入らずに出て行こうとする。
が、いきなりヒロさんが立ち上がり「ケンジ!」と叫ぶ。
ケンジ?
ケンジと呼ばれた男は「…すまん」と呟く。
ヒロさんは立ち上がったまま下を向いて黙っていた。
ケンジも動かずに、その場で立ち尽くしている。

…ここまで来ると鈍い俺でも理解が出来ていた。
彼はヒロさんの元カレなんだ。


312: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:03:37 ID:OdLl12yZo

非常に気まずい沈黙の時間であった。
俺は聞かない様に引き続き、この店の棚卸し作業を続けようかと思うが全く集中出来ない。
しばらくの沈黙の後でケンジが「すまん…」とだけ呟くと店を出てた行ったのであった…

ヒロさんはその後も黙ったままだった。
そして、幾ばくかの時間の後に「マスター、ごめん。また来るよ」そう言って立ち上がる。
マスターも「うん、また…君もまた来てね」そう言って俺にも言ってくれた。
店を出た後にヒロさんはしばらく黙って歩いていたが急に「あー!駄目だ、湿っぽいな…」そう言って俺を見た。
「どっか、店を替えてパーッと行くか!」
ヒロさんは無理に笑っていた…


313: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:05:06 ID:OdLl12yZo

普通の居酒屋に入り騒がしい雰囲気の中でヒロさんがぽつりぽつりとケンジについて話し出したのは、俺が生中二杯目で軽く酔い始めた頃だ。
ヒロさんがケンジと出会ったのは高校を出て今の会社に勤め始めた頃。
ケンジとは、そっち系の出会いの場所で知り合い、その後すぐに付き合う様になったそうだ。
ヒロさんは昔から男が好きだったみたいで、小さい頃はそれが普通だと思っていたらしい。
だか、中学生になった頃から自分は変だと思う。
一度、普通の女子と付き合った事があるらしいが、やはり無理だったそうだ。


314: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:06:35 ID:OdLl12yZo

「あの頃は…滅茶苦茶悩んでたよ」
そう言って焼酎を飲みながらヒロさんが笑う。
そして、何度も女子に告白されるが全て断っていた。
その内の一人にマリコもいた。少し複雑な顔をする俺。
その表情を見て少し何かを俺に言いたそうだったが、そのまま話を続けた。
「ケンジと出会って、俺は生まれて初めてさ…本気で人を好きになった、って思ったよ」
そう照れながら言うヒロさん。
ヒロさんはケンジと一緒に暮らして幸せだったらしい。
だが、やはり、と言うかその幸せは壊れる。


316: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:08:00 ID:OdLl12yZo

「ケンジの親から…見合いの話が出て来たんだよ」
ケンジは小さい会社では有るが二代目らしく、それを継がなければならない。
その絡みもあって親はお見合いを勧めてきた。
ケンジは抵抗したが、それも空しく結局、お見合いをしてヒロさんと別れる事となった。
「別れたくなかった…だけどさ、それ以上にケンジを苦しめたくなかったんだよ…」
そうヒロさんは力なく笑う。
「なんすか…その誰も救われない話…」
気がつくと、俺はヒロさんの話を聞き涙ぐんでいる。
悲しい、つーか、悲しすぎる。それを見てヒロさんが笑う。


317: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:09:39 ID:OdLl12yZo

「…よく有る話だよね」
「ねーよ!!少なくとも俺の近くでは無いっすよ!!」
俺の突っ込みでヒロさんは笑った。
「…有ると思うよ…ナオト君にもきっと…」
「え?俺にっすか?」
「…形は違えど…どうしようも無い恋愛ってさ」
ヒロさんはそう言って煙草に火を点けた。
えー…やだなあ…俺はふと、マリコを思い出す。
もしもマリコが実は男でしたって、オチ…
全然問題ない。何それ、寧ろ少し興奮するんだが。

「ずっと…引きずってたんだけど…最近は少し忘れていたんだよな」
俺は気持ち悪い妄想を止める。


318: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:11:05 ID:OdLl12yZo

「お前らと一緒に暮らしてさ…毎日が楽しくて忘れる事が出来ていたんだけどな…」
ヒロさんが煙を吐き出す。
「さっきの店さ…ケンジとよく行った店で、マスターも俺達の事を知ってるんだ…だから会えるかなって、今なら笑って会えるかなって思ってさ…」
俺はヒロさんを見た。
「お前が居たらさ…何となく笑えるかもって…思ったんだよ」
ヒロさんが、そう言って俺に笑いかけた。
「それは…俺が…心の癒しになると…」
「いや、お前が滝浴びした時のオモシロ顔を思い出せるかなと思って」
「なんじゃそりゃ!」
俺達は笑い合った。


319: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:13:21 ID:OdLl12yZo

「いや、「あの時の顔はヒロさんも大概でしたよw」
「マジ?動画に撮れば良かったなw」
二人でそのまま、いつもの馬鹿話で盛り上がった…

家に帰ると皆、まだ起きていた。まあ、バスの終バスの時間が早いんで起きていて当然の時間であったが。
家に着くとのっけからイモトが絡んで来た。
「二人で飲んで来たってホント???誘ってよ、私らも!!」
「スマン、スマン」
ヒロさんが苦笑いを浮かべて言う。
「二人でどんな美味しいモノを内緒で食べたの??」
マリコも少し膨れて聞いて来た。
「いやいや、普通の、普通の食い物だよ」
俺も笑って答えた。
「それは…私のカレーより…どうなんですかね?」
係長のメガネが光っている。ちょっと怒ってんじゃん係長


321: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:14:58 ID:OdLl12yZo

「ずるーい!!ちょっと、私らも行きたいよ!!」
「分かった、分かった!もうすぐボーナスだから皆、連れて行ってやるよ」
イモトの叫びに仕方なしにヒロさんがそう言った。
「やったー!じゃあ、私焼肉、焼肉!」
イモトが手を上げてそう叫ぶ。肉食女め。
「あ、じゃあ私、中華食べたーい♪」
「私は、あれですね…さ、刺身を…出来れば刺身を…」
皆、好き勝手だ。
「分かった。じゃあ、あれだ…焼肉で中華で…刺身…無理!!統一しろ!!」
「えー!!!」

いつもの様に騒がしい夜だった


323: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:16:21 ID:OdLl12yZo

俺は笑いながら皆を見る。
そして、マリコを見つめた…

男…じゃないよな?マリコ。
いや、俺はお前が男でも気持ちは変わらないぜ!
フフフ…俺って男前だな…

そんな馬鹿な思いを感じながら笑っていた俺…
まだ、気がつく事ができなかったんだな…


ヒロさんの予言通りになってしまう自分の運命を…





324: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:18:46 ID:OdLl12yZo

書き溜めは以上なんすよ
すみません、遅筆でオマケに長々書いててw

結末が気になる人、もうちょい待ってください
色々書いてたらあれもこれもって思い出して…
だから中々上手くまとめれないんですよ


327: 名無しさん 2014/03/26(水)21:21:24 ID:ZlNdgbEzZ

頑張って!


328: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/26(水)21:21:37 ID:OdLl12yZo

ちょっと現在は仕事をしている身で、おまけに朝が早い仕事で殆ど携帯すら触れない仕事柄でしてね
いや、頑張って書き上げますから、もう少しお付き合いください
では、俺は今から冷凍した、みかんの缶詰を食べて寝ようと思います

それでは、おやすみなさい


330: 名無しさん 2014/03/26(水)21:22:14 ID:V1s1UU2c1

待っとるからがんばって書ききってくれんか!


334: 名無しさん 2014/03/26(水)21:38:43 ID:vVKhtNgHb

綺麗で淡いなぁ


337: 名無しさん 2014/03/26(水)21:56:25 ID:I7p2zpshb

係長いいわー


340: 名無しさん 2014/03/26(水)22:10:45 ID:xdWe6cCl3

まさか係長に寝取られるとは・・・


341: 名無しさん 2014/03/26(水)22:20:55 ID:3Kapfdt2t

>>339
まぁ、慌てるなよ
寝ぼけまなこで支離滅裂になるより
楽しめる話のほうがいいじゃん


345: 名無しさん 2014/03/26(水)23:01:24 ID:B0aXBB0MH

ちくしょーパンツ履きなおしたわ、風邪ひくわ、明日も待ってる


347: 名無しさん 2014/03/26(水)23:43:39 ID:T1XbIPruO

予想。
マリコは実はなんらかの病気を患っており、余命があとちょっとだった。
だから最後の場所としてこんな静かな家を選んだ。

どうにもならない恋愛=死が二人を分かつから
泣いた=自分がもうこの先いなくなることを知っているから


355: 名無しさん 2014/03/27(木)00:24:45 ID:MgBV5hO3t

予想はやめよーぜ


385: 名無しさん 2014/03/27(木)11:35:54 ID:BQtZpdSRi

係長は若い女の子と住んでて自制心保ててたのかな


407: 名無しさん 2014/03/27(木)18:02:11 ID:kVmYCes1A

共通点無いけどビーチボーイズってドラマ思い出した


415: 名無しさん 2014/03/27(木)19:38:21 ID:j18nFBYzb

これ、映画化したら配役どうするよ


417: 名無しさん 2014/03/27(木)20:03:48 ID:G4XGW7IA0

ナオト…???
マリコ…本田翼
イモト…イモト
係長…芋洗塚
ヒロ…斎藤工


418: 名無しさん 2014/03/27(木)20:05:54 ID:GIn7f3vTd

イモトと係長は決定やねwww


419: 名無しさん 2014/03/27(木)20:06:30 ID:SUK8NNqp8

ナオト…インティライミ
マリコ…本田翼
イモト…イモト
係長…芋洗塚
ヒロ…斎藤工


420: 名無しさん 2014/03/27(木)20:10:20 ID:G4XGW7IA0

インティライミが主人公なのはなぁ…


421: 名無しさん 2014/03/27(木)20:12:22 ID:G4XGW7IA0

いいのかインティライミに本田翼を抱かせて
ここは容姿のイメージは捨ててナオトは小出恵介にしよう


422: 名無しさん 2014/03/27(木)20:12:46 ID:G4XGW7IA0

ナオト…小出恵介
マリコ…本田翼
イモト…イモト
係長…芋洗塚
ヒロ…斎藤工


430: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:15:13 ID:v8vMqA0jO

ほるど


431: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:16:02 ID:v8vMqA0jO

すみません、お待たせしました!てか、眠いけど頑張って投下します!


433: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:19:50 ID:v8vMqA0jO

「クリスマスパーチーをしませう!」
そうマリコが言ったのは12月も中頃を過ぎた辺りだった。
結局、ヒロさんのボーナスで遊びに行くかは焼肉で決まった。
それはヒロボーナス使い道会議に置いて焼肉派のイモトの熱弁が全員の心を揺さぶったのだ。
そして満場一致で焼肉食べ放題に決定したのであった。

次の、いつ食べに行くかと言う議題に置いてマリコのこの発言であったのだ。
クリスマスに焼肉パーティーって、どうなの?と思ったが、まあ良いんじゃね?って事になったんだ。

当日までの全員のテンションの上がり方は半端無かった。
普段面倒臭くてやらない事でも「来週は焼肉だからトイレ掃除をしよう」とか言っている始末。
まあ、俺なんだけどね。とにかく全員がテンションアゲアゲで、その日を迎えた


434: 名無しさん 2014/03/27(木)21:20:46 ID:GPOzDPrK5

待ってました~!


435: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:21:34 ID:v8vMqA0jO

「ちょ、どの店??どの店??」
市内の繁華街でイモトがデカイ声で叫ぶ。
「ああ、あれあれ」
そう言って俺が一軒の食べ放題の店を指した。
「食い尽くす!」
何その宣言。
「食べ尽くそ♪食べ尽くそ♪」
マリコ楽しそう。係長が指を鳴らした。
「私の本気を見せる時が来ましたね」
もう、あんたら好きにしてくれい。
俺達はとにかく凄い勢いで食べた。
イモト、係長の食べっぷりは勿論だが、マリコ、ヒロさんも凄い。
痩せの大食いってマジなんだな。俺は何か見てるだけで胸が一杯になったよ…


436: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:23:12 ID:v8vMqA0jO

「次は?次はどうする??」
店を出たイモトが叫ぶ。
「どうします?二軒目行きます?」
俺はヒロさんに聞く。
「まあ、滅多に有ることじゃないから行こうか」
ヒロさんは、そう言うが金をヒロさんに出さす訳にはいかない。
だが、イモトと係長は酔って二人で騒いでいる。なので俺はマリコに言う。
「次は俺も出すよ、ヒロさんばっかじや不味いよ」
それを聞きマリコも頷く。
「じゃあ、次は割り勘で行こう?」
賛成だ。いや、待て。
「ちょい待ち…あれだ、係長以外な」
俺の一言でマリコは頷いた。そんな俺らの気持ちも知らずに係長はイモトに腹を叩かれて笑っていた…


437: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:24:50 ID:v8vMqA0jO

「じゃあ、次さあメドレー入れない?」
イモトがマイク越しにそう言った。二次会は結局カラオケだった。
まあ、飲み放題で安い所って言ったらここしか思い浮かばん。
「おお、良いな!じゃあメドレーを順番に回して歌えなかったら一気な!」
ヒロさんの一言に「やろう、やろう!」とマリコが騒いでいた。
「あ、フロントですか?梅酒ソーダ20杯お願いします」
係長、仕事ハエエ!何でアンタはリストラされたんだ!

年代別のメドレーをランダムで入れた。
だが、最近の年代ばかりで係長が一気する…と、思いきや係長、結構歌えるし!
係長のRIP SLYMEを聞く事になるとは思わんかったわ。
逆に歌えないのがマリコだった。マリコはマイクを持つよりグラスを持っていた回数の方が多かったよ。


438: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:26:16 ID:v8vMqA0jO

カラオケが終わり全員かなり酔っぱらっていた。
俺がまとめて金を払って外に出た時に係長は既に演説を始めている。
イモトはまだ歌を歌っている。ヒロさんは夜空を見ながらタバコを吸っていた。つーか、誰か係長を止めろい。
「マリコ大丈夫?」
俺が目を軽く閉じているマリコに声を掛けた。
「ナオト?!」
マリコが笑いながら俺にもたれ掛かってくる。
うわ、何、これ。メチャメチャ嬉しいんだけど。とにかく全員酔っぱらいだった。
比較的にまともな俺が最初に気が付いた。


439: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:28:00 ID:v8vMqA0jO

「ああ!!バス!!バスの時間!!ヒロさん、終バス無い!!」
その声を聞き目の回りを赤くしたヒロさんがくわえタバコで一言。
「バスが無ければ…バスを作れば良い…」
アンタ、何を言ってんだ。
俺はヒロさんを諦めてイモトに言う。
「イモト、バスが無いぞ」
「バス、バス、さっきからうるさいな!ナオトはそればっかりじゃない!」
何故かキレられる。そして、係長の所に走り出して、その横で「はい!!拍手!!」と叫んでいた。
「マリコ、大丈夫?バス無いよ」
俺がそうマリコに聞くとマリコは俺を見る。

「よし!じゃあ、歩こう!」

は!?マジで!?
その声を聞いてヒロさんも「歩く事を俺達は止めてはいけない」そう言う


440: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:29:56 ID:v8vMqA0jO

マジか…まあ、歩けない事は無いんだろうけど…
まあ、良いかたまには…

歩く事が決まれば、何か諦めがついた。
まず、俺達がした事は…係長の演説の拝聴だった…

夜の幹線道路を全員で騒ぎながら歩く。何故か全員で『翼をください』を歌っていた。
途中で自販機で飲み物を買って海を見ながら海に何かを叫んでた。
とにかく、ハチャメチャだった。
ハチャメチャなんだけど…スンゲエ楽しいんだ。
腹の底から笑っていたよ…


441: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:31:44 ID:v8vMqA0jO

誰かが言う。
「また飲みに行こう!そして、帰りにまた歩こう!」
「また、ヒロさんの驕りでな!」
「おう、行くぞ!俺の全財産、使ってやる!」
全員で笑っていた…楽しかった。
本当に楽しかった…

俺達全員の最初で最後の飲み会…

俺は海から流れてくる夜風に揺られるマリコを見た。
両手でミルクティを持って笑っている。
イモトは砂を係長に投げている。
係長は笑って腹を揺らしながら逃げていた。
ヒロさんはタバコの煙に目をしかめながら笑っていた…


442: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:32:45 ID:v8vMqA0jO

この時間が永遠に続いて欲しかった…
だけど、物事に永遠は無い。
そしてこんな生活を一生送れない事も、その時の俺も十二分に理解していたんだ…
必ずいつか、別れが来る。
だけど…こんなに早くに来るとは夢にも思わなかったよ…
そして、その別れの口火を切ったのは…


以外にもイモトであったんだ…


443: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:34:41 ID:v8vMqA0jO

年末年始は実家に帰る事にした俺。
何故かと言うと、皆が実家に帰ったり、誰かの家に行ったりと様々に家に居なくなるからであった。
俺はマリコと年越しジャンプとかしたかったんだが、家に居ないならば仕方がない。
もう二度と一人ぼっちの夜はゴメンだったんだ…

実家に居る間、凄く暇で普段の、あの騒がしい毎日が恋しくなる。
そして新年が始まり数日が過ぎた頃に俺は家に戻った。
いつもの騒がしい毎日が始まり、俺はその生活を楽しんでいた1月の中旬の頃だった…

最初にイモトの異変を感じたのは係長だった


444: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:36:30 ID:v8vMqA0jO

「イモトさんの様子がおかしいですね」
そう言ったのはイモトが風呂に入っている時だった。
「え?何で?」
「いや、いつもはご飯をお代わりするのに、最近あんまり食べないんですよ」
「いつから?」
マリコがリンゴを食べながら訊ねた。
「正月明けから…かな?」
「あれじゃね…?」
タバコを換気扇の下で吸い終わったヒロさんが言う。
「ダイエット」
え?イモトが?全員で顔を見合せ、その後笑った。
「ねえなww」
「ナイナイww」
そう笑って済ませたが皆、少なからずイモトの異変を心配している様だった…


445: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:38:34 ID:v8vMqA0jO

翌日、イモトと学校に行くがイモトはいつもと変わらない。
いつもの様に学校まで自転車競争をするし、学校では俺にまとわりつくし、昼飯の時も俺の唐揚げ君を一個パクるし…何らいつもと変わらない。
なので、俺は冗談っぽくイモトに聞いてみた。
「なんかさあ、係長がいってたんだけど…お前、ダイエットでもしてんの?」
「は?ダイエット?」
唐揚げ君を頬張りながらイモトがキョトンとする。
まあ、ダイエットする奴が唐揚げ君をパクらんわな。
「なんでよ?」
「いや、何かあんまりご飯を食べないって言ってたから」
「…ああ…」
イモトは微かに笑う。
「どうした?癌か?」
俺が笑いながら言うと「余命があと…150年なのよね…」
「長すぎww死ね、もうちょい早くに死ねww」
二人で笑った後にイモトはパンパンと手に付いた唐揚げのカスを落としながら呟く様に言った…


446: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:40:02 ID:v8vMqA0jO

「家…出ようかな、って思って…」

は?

「まあ、次いでに言うなら…学校も辞める…」

え?
俺はイモトがいつもの冗談を言っていると思い笑おうとするが、いつにないイモトの真剣な横顔に上手く笑えない。
「…冗談だよな?」
俺の一言にイモトが笑う。

「…悪いけど…マジなんだよね…」


447: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:41:39 ID:v8vMqA0jO

……俺はその日、ずっとイモトに理由を聞き続ける。
と、同時にいつイモトが「はい、ドッキリでした!」と言ってくれるのか期待していた。
だが、イモトは面倒臭そうに「まあ…良いじゃん」と言うだけだったんだ…

家に帰ると今度は他の全員がイモトを質問攻めにする。
マリコは半泣きに成りながら「何で?何でイモトちゃん…」と聞くばかりだ。
「何だよ、意味わかんねーよ…」と呟くヒロさん。
「何か体の具合でも悪いんですか?」
係長はイモトの体を心配する。

イモトは最初は少し笑いながら「まあ、良いじゃん…」と言っていたのだが段々何も喋らずに黙るだけになった。


448: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:43:54 ID:v8vMqA0jO

マリコが鼻をすすりながら「どうしたの…?悩み事有るんなら言って…」とイモトの肩に手を置いた時だった。
イモトは下を向いたままマリコの手を払いのけた。
「もう…ほっといてよ!!」
イモトはそう叫ぶと立ち上がる。
「もう、皆しつこい!!どうしようが私の勝手でしょ!!もう、マジ良い、青春ごっこに飽きたっつーの!!!」
俺達は全員ビックリして動けない


450: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:45:40 ID:v8vMqA0jO

「…イモト…本当の事を言ってくれよ…」
ヒロさんがそう言うがイモトは黙っているままだ。
マリコが更に鼻をすすり始めた。
「…イモトさん…」
係長がそう呟くと同時に「ああ、マジ、面倒臭え…寝る」イモトはそう言って部屋に行こうとする。
「おい、イモト!」
俺の叫びも虚しくイモトは部屋に消えて行った…

俺達はしばらく沈黙していたが係長が口を開く。
「まあ…人には色々有りますから…イモトさんも今はただ混乱しているだけかもしれません」
その言葉に俺達は黙って頷いたのだった…


451: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:47:54 ID:v8vMqA0jO

翌朝、目が覚めたのはマリコの大声だった。
何事かと思い部屋を出るとマリコは泣いていた。
「どうした??!!」
マリコが泣いてるのはイモトの部屋の前だ。
「イモトちゃんが…イモトちゃんが…」
そう、うわ言の様に繰り返すマリコ。
ヒロさん、係長と目を合わす俺…まさか!!
俺達は全員、同じ事を思ったのか一斉にイモトの部屋に駆け出す!

…が、イモトの部屋は誰も居ないだけだった…
全員がホッとする。
まあ、冷静に考えたら、アイツが自殺する様なたまかよ。


452: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:50:32 ID:v8vMqA0jO

「何だよ…焦らすなよ…」
俺がそう言うとマリコは首を振りながら手に持っている紙を見せた。
紙にはイモトのガサツな字で『じゃあね。バイバイ』とだけ書かれている。
そしてよく見ると部屋の中も片付けられていた。
「どうしよう!イモトちゃん…ひょっとして…病気で…それを苦しんで…」
マリコは最後の言葉を飲み込む。
「馬鹿、アイツが病気を苦にして死ぬか!」
まあ、一瞬疑った俺が居たが。
「うん、アイツが似合うのは壮絶な戦死だな」
ヒロさんも頷く。


453: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:52:01 ID:v8vMqA0jO

「でも…でも…」
マリコは尚も泣いている。試しにイモトの携帯(流石にこの時はイモトに携帯を教えてました)を鳴らしてみる。
が、留守電になっていた。
「直留守電っすね」
「とにかく、心配な事は間違いない…ちょっと近場を探すか」
ヒロさんの一言で俺達は辺りを探す。
だが、イモトの自転車も消えていた。いつ頃出て行ったかは分からないが、この辺りには居ないのかも知れない。
同じ事をヒロさんも思ったのか一旦戻ろう、と提案された。
「スマンが俺はタイムアップだ、仕事の時間なんだ」
あ、そうか。


454: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:53:49 ID:v8vMqA0jO

「俺、思うんすけど、アイツ実家に帰ったんじゃないっすかね?」
「うん、俺もそう思う」
「ちょっと、俺アイツの実家に行ってみます」
一応、イモトの実家は知っていた。一度荷物を取りに行くのに付き合わされたからだ。
「待て、俺も行くから俺の仕事が終わるまで待て」
「え?」
「一人で行っても多分冷静に話にならんし、かといって今のマリコを連れて行っても感情的になるだけだ…係長を連れて行ったらマリコを一人にするのが不安だ」
俺はマリコを見た。確かに心配で泣いているマリコを連れて行ってもダメだな。
「分かりました。じゃあ夕方に」
そう言って一旦ヒロさんは仕事に行く。

その日マリコはずっと縁側で外を見ていた。
そして俺に「大丈夫だよね?イモトちゃん大丈夫だよね?」と何度も聞いてくるのだった


455: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:55:50 ID:v8vMqA0jO

夕方、俺はヒロさんと落ち合いイモトの家に行く。
到着してインターフォンを押すと中から小綺麗な女の人が出て来た。まさかのイモトの母親だった。
俺達は挨拶をしてイモトを呼んで貰う。やはりイモトは実家に帰っていたのだった。
イモトを待つ間にヒロさんが呟く。
「イモトって…拾われたのかな?」
その意見には激しく同意するが今は笑わせ無いで欲しい。
イモトは出て来て俺達を見るなり焦った表情を浮かべドアを閉めようとした。
「イモト!」
俺がそう言うかイモトは「帰れって!」と小さく叫ぶ。

「待て!サヨナラ位は言わせろ!!」
ヒロさんの声にイモトは動きを止めた。
そして、しばらく考えた後にユックリとドアを開けたのだった…


456: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:57:11 ID:v8vMqA0jO

「皆…心配してるぞ」

俺達はイモトの家の近くのファミレスに来ていた。
「オーバーだな…」
イモトのその一言に俺はイラッとした。
が、ヒロさんが俺を制す様に話をする。
「イモト…お前が出て行くなら、もうそれで良い。お前の権利だ…けど、俺らにも有るだろ…?」
イモトはヒロさんを見た。

「お前を…心配する権利が…!」

そう言うとイモトは黙って下を向いた。


457: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)21:58:47 ID:v8vMqA0jO

しばらく黙っていたイモトはポケットから携帯を出した。
そして、ポツリと呟く。

「…大学に…行こうと思って…」
え?
「私…本当は大学に行きたくて…でも、馬鹿だから受からなくて…でも、もう一度チャレンジしようかなって…それで勉強するのに実家の方が良いかと思って…」

俺とヒロさんは顔を見合せる。ヒロさんの顔に安堵があった。
恐らく俺にもあったんだろう。
俺達は大きく溜め息をついて椅子の背もたれにもたれかかった。


458: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:00:56 ID:v8vMqA0jO

「…お前…言えよ!」
「だ、だって…恥ずかしかったんだもん…!今から大学とか…それに落ちたら恥ずかしいし…」
イモトはそう言って下を向いた。
お前にも恥ずかしいと言う感情があるんだな、とは言えずに俺達は笑った。
「何で急に…?何の心境の変化だよ?」
イモトは俺の一言に更に下を向く。
「どうした?」
イモトは少し頭をかいた。
「…皆に会って…一緒に暮らして…楽しくて…でも…不安で…どうして良いか分からなくて…正月に実家に居たらもっと不安になって…」
ちょっと待て、全く分からん。
イモトは軽く溜め息をついた。


459: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:02:26 ID:v8vMqA0jO

そして…

「…私…高校時代まで…虐められてて…友達も居なかったの…」

え??!!イモトが??!!
イモトは携帯を開けて弄くると俺らに画面を見せた。
「いつも、気持ち悪いって皆に言われてた」
携帯には昔のイモトだろう写メがあった。
確かに気持ち悪いと言われるかも知れない…が…
「…あんまり今と変わらん」
ヒロさん今は空気読んでくれない?
俺はヒロさんの靴を踏む


460: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:03:48 ID:v8vMqA0jO

「気持ち悪いって、まあ自覚あったからね!それは良いんだよ!」
イモトがむくれて携帯を取り返す。
「でさ、友達も居ない上に…馬鹿だから勉強も出来ない…で、私このまま何も無いままで人生終わっちゃうのかなって…思ったらさ…何かどうでも良くなった」
イモトが少し笑う。
「だから…大学に行けないって分かったら、取り敢えず近場の専門学校に行ってさ…全く知らない人達に囲まれて自分を変えようって思った。とにかく、自分を出して…自分の好きな様に生きて…それに失敗したら、もう死んでも良いかな?って思ったんだ」


461: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:06:21 ID:v8vMqA0jO

俺達は黙ってイモトを見ていた。
「そんでね…」
イモトは軽く笑った。
「専門学校で…誰でも良いから好きな人を見つけようって…で、願書出しに行った時だった…私が願書出そうとしたら書類を落として散らばったの…誰も拾ってくれなかったんだけど…一人だけ拾ってくれた人が居たんだ…その人は何も言わ
ずに私にまとめた書類を置いてくれて…そのまま行っちゃったの…」
イモトは俺を見る


462: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:07:35 ID:v8vMqA0jO

「あ、この人を好きになろうって…この人を好きになったら…私は変われるかもって…入学式で声を掛けても全く気が付いて無かったけどね…」
ヒロさんが俺に軽く肘を入れる。
え?俺の事?
俺は自分を指差すとイモトは軽く笑って頷いた。
そう言えばイモトはのっけから「覚えてる??」って聞いて来た気がする。
でも、その前にイモトに会ってたのは全然覚えてない


463: 名無しさん 2014/03/27(木)22:08:06 ID:OJc3HQPoq

そろそろ、ハンカチ用意した方がいぃ?


464: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:08:41 ID:v8vMqA0jO

「でさ、実際にナオトを好きになってからさ…色んな楽しい事が起きた…本当に、本当に楽しい一年だった…多分、人生で最高の一年だったと思う…だから…」
「…うん」
俺は頷いた。何となくイモトの言いたい事が微かではあるが分かった。
「だから、不安になった。皆と居て楽しければ楽しいほど、余計に不安になった。それで…このままじゃいけないって…この前、実家に帰って一人になった時に思ったの…」


465: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:09:55 ID:v8vMqA0jO

ヒロさんは腕組みをして下を見ていた。
俺も黙ってイモトの話を聞いていた。
結局…イモトも心に何かを抱えて生きてきたんだ。
そして、それを解こうとしている。

俺達全員…何かしら心に傷を抱えてたんだな…

そして、イモトは翌日再び俺達の家に戻ってきた。
…勿論、住む為じゃない。最後のケジメに来ただけだったんだ


466: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:11:12 ID:v8vMqA0jO

「早く、言ってくれれば良いのに?!もう本当に心配したんだからね!」
マリコがイモトに怒る。
「ゴメン…だって…マリコ絶対に必勝祈願とかしそうだもん…」
「するよ!絶対にする!受験場所まで皆で応援に行くよ!」
「来るなっつーの!」
イモトが苦笑いをする。
「でも、受験終わったら…また、一緒に住めますよね…?」
係長っがそう言って笑う。
「うん…でも、今年は流石に無理だと思うけど…来年受かったら…また…一緒に住みたいな…」
イモトはそう言って少し照れた。


467: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:12:37 ID:v8vMqA0jO

「おう、待ってる。絶対に受かれよ!」
ヒロさんが微笑んだ。
「落ちても住めば良いじゃんw」
俺がそう言う。
「ですね、どっちにしろ…自分が納得したら…また、住みましょう!」
係長はそう言って優しく笑った。
「ここは…」
マリコがイモトを見た。
「ここは…イモトちゃんの家だから…私達は待ってるよ」
「…うん」

「私達は家族だから…!」

そう言ってマリコは飛び切りの笑顔をイモトに見せた。
イモトは下を向き鼻をすすった。
俺も軽く上を向く…
俺までマリコの言葉に泣きそうになっていたんだよ…


468: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:14:44 ID:v8vMqA0jO

イモトが家を出る時に俺一人だけを呼んだ。
「どうした…?」
「いや、最後にちゅーしようかと思って」
俺はすぐに離れる。
「冗談だよ!…それより、マリコの事…」
「え?」
「アンタはさ…かっこつけでさ…すぐに口からでまかせ言うしさ…変に真面目ぶったりするけどさ…」
偉い言われようだ。
イモトは俺の腹を軽く叩く。

「でも…結構優しいから…だから…自信持って…!」
「イモト…」
「だから、最後にちゅう!」
イモトが顔を近づけるので俺は払いのけた。

そして俺達は笑い合う


469: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:16:30 ID:v8vMqA0jO

「じゃあ…!」
「ああ…!またな!」

俺はそう言って手を振る。イモトも手を振り返していた…

こうして、イモトはこの家から出て行った。
俺達はイモトが出て行った事に悲しさは無かったんだ。
だって前向きな旅立ちの別れだったから。
そして、再びこの家で皆で楽しく暮らしていけると信じていたからだった…


だけど、イモトがこの家で暮らす事は二度と無かった。
そして、これが俺達『家族』の別れの始まりだった。


470: 名無しさん 2014/03/27(木)22:17:48 ID:XUR27tcF5

支援!面白くてついつい見てしまう


471: ナオト◆LthZ5KNBTs 2014/03/27(木)22:18:28 ID:v8vMqA0jO

今日は以上です。
長々とお付き合いしてもらってありがとうございます
あと、もう少しで終わりますので、もうしばらくお付き合いください

それでは、今日は寝ます
おやすみなさい


480: 名無しさん 2014/03/27(木)22:27:57 ID:GPOzDPrK5

やっと追いついた!
お疲れ様~


493: 名無しさん 2014/03/28(金)00:05:25 ID:QCO8ByVMN

家族解散も見ていて
切ないけれど
この話が完結してしまう事が
何より寂しい俺がいる。


499: 名無しさん 2014/03/28(金)00:30:26 ID:e1Gm7zfRj

これ、話全体の8割位は語り終わってるのかな?
なんか終わりが近づくと淋しいよな


505: 名無しさん 2014/03/28(金)02:02:27 ID:CB1RwNIAS

イッテQの撮影大変だもんな…イモト…


引用元: 童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった






全シリーズ

【Part1】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part2】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった

【Part3】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part4】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part5】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part6】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
【Part7】童貞のまま同棲する事になったんだが色々カオスだった
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